
もくじ
1. ごあいさつ
2.獣医さんがお話しする熱中症エピソード~こんなこともある!~
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
2回にわたって熱中症についてのお話をおおくりしてきましたが、今日がいよいよ最終回です。
暑い暑いと思っていたら、今年は6月の気温の平均気温が過去最高というニュースが出ていましたね。
人間も動物さんも熱中症には気をつけましょう。
獣医さんがお話しする熱中症エピソード~こんなこともある!~

クーラーをかけていたのに家の中で熱中症!?
昨今は、ねこちゃんは室内飼いというのが定着してきて夏はクーラー、冬は暖房の中で過ごしているという子も多いと思います。
一見、室内だから大丈夫と思いがちですが、ねこちゃんに関しては…という話です。
実際に、私が診させてもらったねこちゃんもリビングにクーラーをつけてもらっていたそうなのですが、クーラーがついた快適な部屋ではなく、いつも入りたがる別の部屋を開けてもらうために、扉の前でずっとねばっていたようです。
その結果、急に具合が悪くなり、嘔吐もして病院にやってきました。
診断結果は熱中症疑い。
病院にすぐにきてもらったので、1日〜2日で回復しました。
ねこちゃんは、意外とこだわりが強い動物さんなので、クーラーが嫌いで他の部屋に逃げてしまったり、いつもいる場所に執着したり、何かしてもらうまでじっと同じ場所から動かないということがよくあります。
お家にいても、他の部屋で熱中症ということも十分ありえるので、行動には十分注意してあげてくださいね。
その子の性格と執着度によっても違いますが、クーラーのきいた部屋でも逃げ込める場所があると落ち着いてくれる場合もあるので試してみてください。
実は熱中症じゃなかったお話
ある日、病院にふと見たら屋上で犬が倒れていた!熱中症かも!と電話がかかってきました。
救急として受け入れたところ、意識はない状態なものの熱はありませんでした。
どうも熱中症とは違う様子だったので、鑑別のために頭のMRIを撮ったところ、脳に腫瘍病変が見つかり、脳浮腫を起こしていることがわかりました。
一見、夏の屋上というシュチエーションだと、熱中症と思いがちですがこういう他の病気の場合もあります。
なので、熱中症かも!?と思ったら、体温を測れるといいと思います。
お家から病院に行くまでに冷やしてきてもらうかの判断材料にもなるので、先が柔かいタイプの体温計を動物さん用に一つ用意してもらっておくとベストです。
熱中症で体を冷やしすぎると…
これは、まだまだ私が新人の頃の話ですが、
熱中症の患者さんを受け持つことになり、氷や扇風機、クーラーと完璧に用意して出迎えました。
実際に順調に体温も下がってきて、よしよしと思っていたら、今度は体温が35℃まで下がってしまって低体温になってしまったことがあります。
熱中症の時は、体温調節を司る視床下部がおかしくなっているので、冷やすのをやめてもどんどん体温が下がっていってしまうということがよく起こります。
病院では39.5℃くらいで一旦冷やすのをやめて、後からくる体温の低下に備えます。
ご自宅で熱中症かもと思った時でも、冷やしすぎると低体温に陥ってしまうということを覚えておいてください。
熱中症を疑ったら、まずは体温を測り、動物病院に電話してもらい獣医さんの指示のもと冷やすようにしてくださいね。
最後に
長々とお付き合いありがとうございました。
これを読んでもらった方は、今年も熱中症にならずに過ごせるとよう活かしてもらえたらと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ