獣医さんのコラム(133)獣医さんが解説する最近話題の感染症~SFTS(重症熱性血小板減少症候群)~

もくじ

1. ごあいさつ

2.最近話題の感染症~SFTS(重症熱性血小板減少症候群)~

  なぜ話題?

  どんな症状?

  ・伝染させないための動物の予防の話

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

今日はちょっと雰囲気をかえて、最近TVで取り上げられているのを見るようになった病気を取り上げたいと思います。

動物さんも感染して、人にもうつるのでぜひ知っておいてもらえたらと思います!

最近話題の感染症~SFTS(重症熱症血小板減少症候群)~

なぜ話題?

2013年に国内で報告されるようになり、2023年に年間発症数の報告が100件を超えた新しい感染症で、今年は2023年を超えるペースで発症報告が出ていることからニュースにもよく取り上げられていました。

マダニから感染して、特に60代以上の高齢者の発症して致死率が27%と高いことも話題になっています。

そして、動物と生活している方にとって心配が多い病気でもあります。

マダニから動物さんも感染し、動物さんから人にうつるという感染ルートも確認されているので、高齢なご家族がいるお家では特に注意が必要ということももちろんあるのですが…

さらに怖いことに、ねこちゃんで致死率60%、わんちゃんで致死率40%という報告が出ています。

どんな症状?

人では6~14日の潜伏期間を経て、発熱や倦怠感、頭痛、白血球・血小板の減少の症状が始まり、重篤になると臓器不全に移行していきます。

高齢者は臓器不全を併発しやすく、この合併症によって亡くなってしまいます。

わんちゃん、ねこちゃんでも人とほぼ同じような、発熱や白血球、血小板の減少といった症状が出ますが、

死亡率の高い猫では、ほぼ100%の確率で黄疸が出ることも特徴的です。

一方、犬では黄疸はほとんど認められませんが、CRPという炎症の値はほぼ全てのわんちゃんで上昇します。

わんちゃん、ねこちゃんはSFTSの感受性が強いことがわかっていて、人間より感染すると危険な病気と言えるかもしれません。

伝染させないための動物の予防の話

人がマダニに噛まれないように対策するというのはもちろんですが、動物さんの方が草むらに行く機会は多いと思います。

報告では毎年100人〜という数にはなっていますが、動物さんから感染症やマダニを連れてきているということが、軽症も含めると診断されていないだけでもっとあるのではないかと考えています。(動物さんのSFTSの診断は現時点ではかなり大変です)

そして、前にも書いて通り、動物さんでより致死的な病気でもあります。

感染源となるマダニは、昔からあるスポット剤(首の後ろに垂らすタイプの予防薬)やチュアブルタイプ(おやつのタイプ/犬のみ)で予防できます。

ノミがついたら使おうと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この機会にマダニの感染ということにも注目していただき、改めてしっかり使ってもらえたらと思います!

最後に

マダニは春から秋に活性化します。

自然が多い場所へのお出かけが増える時期だと思いますので、ノミダニの予防もお忘れなく!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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