
もくじ
1. ごあいさつ
・注意点
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
動物病院も細分化していく流れの中にあります。
専門的な診療にアクセスしやすくなった一方で注意点もあります。
今日はそんな専門医についてを解説したいと思います。
獣医さんが解説する専門診療の頼りどころ

どういう診療科がある?
元々、昔は専門診療科があるのは大学病院だけといった感じでした。
ただ、昨今は細分化が進んでいて、大学病院以外にも専門診療を行なっている病院も増えてきて、
一般診療もしながら専門診療をしていたり、専門診療のみを行なっていたりと形態は様々な病院があります。
分野としては循環器科、眼科、皮膚科、歯科、整形外科、行動診療科など、専門性や特殊な機器が必要な科に専門診療科が多いです。
注意点
どんな症状の場合でも専門診療科に行った方がいいと思われる方もいるかもしれませんが、基本的にはかかりつけ医が診察してある程度の診断をたててから、専門性を絞った上で専門診療科に紹介する方が好ましいシステムであることに注意してください。
なぜなら、
・そもそもかかりつけがいることが前提のシステムのことがある
地域の病院や遠方からその分野に特化した症例があつまるので、基本的に急性期を過ぎると再診間隔を長く設定することが多いです。
かかりつけ医で日頃の状態管理をして、悪化した場合に再度受診することを前提としていることも多いので、細かく経過観察をすることは想定していない場合があります。
また、再悪化した場合に、すぐに受け入れが難しい場合もあり、かかりつけ医である程度の処置をすることもよくあります。
・専門外のことは診断しない場合がある
総合病院の中の専門科の場合は、別の科にまわすこともできますが、単科のクリニックの場合は別の病院へという結論になることも考えられます。
かかりつけ医がいる場合は、スムーズに他の専門診療科に紹介を受けられますが、中には獣医師からの紹介がないと受診できない病院もあるので困ってしまう場合があります。
・どういう病気だったかの履歴があいまいになることがある
過去に専門診療科を受診した経歴があるケースで、どういう診断名でどういう治療をしたのかが不明瞭になっていることがよくあります。
かかりつけ医がいるとその患者さんに関する医療データや病歴を管理しているので、何かあったときも過去の病歴に記載して紹介状に書いてもらえます。
頼るべき時は?
専門科の中には、専門的な器具がないとそもそも治療や診断ができないという分野もあります。
例えば、眼科や整形外科、歯科はそういう傾向があります。
もちろん、機器がなくても代替的な治療法を行える疾患もありますが、治療のバリエーションは確実に少ないので、選択肢を多く持ちたい場合や最新の治療を受けたい場合は専門科の受診を考えていいと思います。
循環器科などの場合は、一般診療でも診断や治療をしている場合も多いですが、珍しい病気の場合や僧帽弁閉鎖不全症の手術のように特殊な治療を受けるためには専門科しか診断や治療が行えないことがあります。少し珍しい病気の可能性がある場合や循環器科の手術を受けたい場合は専門科を検討するべきだと思います。
皮膚科は、一般診療で治療をしても治りがよくない場合は受診を検討してよいと思います。(耳科も同様です)
アレルギーなど診断名がかわらない場合でも、かなり問診を丁寧にしてもらえることが多いので解決策が見つかる場合も多いです。
行動治療科などは一般診療とはやっている内容が全く違うので、問題行動に困っていて解決策を探している場合は解決策のひとつになると思います。(ただし、問題行動の治療は方向性を示すことが中心になるのでご家庭での努力が必要です)
最後に、最近導入数が増えているCTやMRIに関しては機器があれば撮れるのは撮れるのですが、画像診断医がいるかどうかで診断の精度がかわってくる場合も多いです。
ただ撮影をしても診断がつかないということもよくあるので、画像診断科がある施設を選ぶことも重要です。
最後に
動物医療は人の医療のように統一したシステムがないので、紹介がないと受診できない病院もあれば、飼い主さんの判断で受診できる病院もあったりと色々です。
うまく診断に結びつけるためには、より知識や情報が必要なのでまずはどうしたら1番良いかを相談できる先をつくってくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ