獣医さんのコラム(151)獣医さんが解説する最近話題の麻薬成分!?CBDとTHCって何?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する最近話題の麻薬成分!?CBDとTHCって何?

  そもそも麻薬って?

  CBDとTHCの違いとは?

  ・動物でも使われている?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

最近、ニュースで麻薬グミが話題になっていましたね…

麻薬=悪いものというイメージを持ちがちですが、実は医療の分野では麻薬というのはなくてはならないものでもあります。

そんな麻薬の成分で今回話題になったTHCと、少し前からサプリメントなどでよく使われているCBDという成分について取り上げたいと思います。

獣医さんが解説する最近話題の麻薬成分!?CBDとTHCって何?

そもそも麻薬って?

今回話題になっている成分は大麻から抽出される成分です。

でも大麻と言われても、マリファナ、モルヒネ、ヘロイン、コカインなどよく聞く薬のどれのことを言っているのかよくわからないですよね。

そこで、成分の話をする前に先にこの麻薬の種類の話をしたいと思います。

①大麻

麻(大麻草)の花や葉由来の成分でマリファナと呼ばれている薬が大麻由来です。

今回話題になったCBDとTHCは、この大麻草から抽出された成分です。

②ケシ

ケシから採取された阿片(アヘン)から抽出されたのがモルヒネで、さらにモルヒネから合成されたものがヘロインです。

ヘロインはモルヒネの4〜8倍強い効果があると言われています。

獣医療ではモルヒネが鎮痛薬として使われています。

③コカ

南米原産のコカの葉から抽出された成分がコカインと呼ばれている薬です。

麻薬とは厳密にはケシから生成される薬のことを指しますが、広い意味では法律で禁止されているこれらの薬物のことを麻薬とよんでいます。

植物からつくられている薬以外にも合成麻薬といって化学物質を合成してつくられる薬もあり、獣医療でいうとフェンタニルという薬をよく使っています。

CBDとTHCの違いとは?

THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻草の葉や穂から抽出される鎮痛、催眠、抗がん作用、食欲の増進などの効果のある成分です。

ただし同時に精神活性作用、つまりハイになるような作用や依存性があり法律で規制されています。

ちなみに同じ大麻草からつくられるマリファナという麻薬にはこのTHCが12%程度含まれています。

一方で、CBD(カンナビジオール)は、大麻草の茎や種から抽出された成分で鎮静、鎮痛、リラックス効果があります。

THCと違い精神活性化作用や、依存性は基本的にはありません。

ちなみに、CBDも大麻草から抽出されているので微量のTHCが含まれていますが、<0.3%以下と決まっており、それ以上含まれている場合は違法となるため成分規制がかかっています。

動物でも使われている?

麻薬に関しては、もともと麻酔鎮痛の分野で獣医療でも使われているのですが、

CBDに関してはここ数年でアメリカやオーストラリアを中心にわんちゃんでの研究がかなり進みました。

そして実際に臨床的に使われることも増えてきています。

日本でもペット用のサプリメントとして販売されており入手できるようになっています。

ただし、少し注意すべきこともあって、

もともとはCBDはアメリカで流通していた成分が、日本での法律の規制緩和によって入ってきたという流れなのですが、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)がCBDが認可しているというわけではありません。

そのため、1つの研究では、ペット用CBD製品として販売されているもの29種類を調査したところ、重金属汚染が4製品、2製品にはCBDが含まれておらず、実際に記載している量のCBDが含まれていたのは10製品だけだったと報告されています。

日本では、成分規制がかかっているのである程度はチェックされていると思いますが、購入にあたってはしっかり販売元をチェックする必要があります。

また、CBDは治療薬と併用することで薬の量を減らしたり、効果を増進させることが期待されている成分です。

完全なサプリメントとしてかなり微量を摂取するというのであればサプリメント的に使えるかもしれないですが、何かの効果を期待して使うのであれば、適応する症状によって必要量が違ったり、副作用があったりする成分なので獣医師の監督のもとで使用してもらった方がいいと考えています。

最後に

麻薬は怖い薬ではあるのですが、効果だけを見るととてもありがたい薬でもあります。

依存性なくその効果だけを抽出しようというのがCBDなので、今後日本の動物医療でも使われることが増えていくのではないかと思っています。

明日は、CBDでどんな研究がされているのかや適応についてをお話ししたいと思います!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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