獣医さんのコラム(158)獣医さんが解説する拾い食いに気をつけて!急に発病する怖い病気

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する拾い食いに気をつけて!急に発病する怖い病気

  その病気とは?

  発病しやすい体質とは?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

お家でわんちゃんが食卓の下に落ちたものを食べてしまったりということはないでしょうか?

今日は、そんな拾い食いから発症する可能性のあるちょっと怖い病気をご紹介しようと思います。

獣医さんが解説する拾い食いに気をつけて!急に発病する怖い病気

その病気とは?

その病気とは、『急性膵炎』です。

膵臓というとどういうイメージがあるでしょうか?

膵臓は、インスリンなどを出して血糖値をコントロールする役割と、食べ物を消化する消化液を出す役割の2つの役目を持っている臓器です。

消化という役割を持っているので脂肪によく反応する特徴があり、実際に急に炎症を起こす原因は不明なこともよくありますが、拾い食いなど普段は食べない脂質過多のものを食べたことなどをきっかけにして起こることも多々あります。

そしてそういったきっかけから、普段は膵臓の中では活性化しないようにコントロールされている消化液が、自分自身を障害しだすという悪循環に入り、激しい炎症を起こします。

そのため、急性膵炎を起こすと激しい腹痛を伴って、元気食欲の消失、嘔吐、下痢など強い症状が出ます。

致死率も、文献上では27~58%というデータがある怖い病気です。

実際に治療していても、文献上の数字ほどは致死率は高くないですが、かなり症状が強いこともあり一進一退ヒヤヒヤしますし、もちろん亡くなってしまうこともあります。

発病しやすい体質って?

膵炎の説明をしていると急に発症する、症状が激しい、致死率など怖いことばかりが並んでしまいますが、実は発症しやすい要因がわかっています。

その要因とは

①年齢

中年齢〜高年齢で発症が多い!

②体型

肥満な子で発症が多い!

③体質

高脂血症体質だと発症しやすい!

④持病

クッシング症候群、甲状腺機能低下症、糖尿病などのホルモンの持病を持っていると発症しやすい!

その他、慢性膵炎などを持っている子も発症する可能性あり!LIPが高く定期的に嘔吐が出るわんちゃんは注意!

最後に

実際に、自分の患者さんでバーベキュー中に落ちたお肉を拾い食いしてからおかしくなって急性膵炎と診断したことがあります。

もちろん、発症しやすい要因があったのだと思いますが、今まで元気だった子が急に激しく嘔吐しだしてぐったりし、致死率もありますと説明しないといけない状態に陥るのでショックの大きい病気でもあります。

特にリスクの高い子は、注意してくださいね!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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