獣医さんのコラム(160)獣医さんが解説する動物さんも関節はお大事に!後編

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する動物さんも関節はお大事に! 後編

  わんちゃんの変形性関節症の症状

  ねこちゃんの変形性関節症の症状

  ・治療法は?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

1日あいてしまいましたが、前回のコラムの続きをおおくりしたいと思います。

今回は、症状と治療についてです。

お家の子に当てはまるかも!?

ぜひ読んでみてください!

獣医さんが解説する動物さんも関節はお大事に!後編

わんちゃんの変形性関節症の症状

わんちゃんとねこちゃんでは関節症の症状は少し違います。

共通して、緩徐に進行していくので気づきにくいという点は共通していますが、どちらかというとねこちゃんの方がわかりにくいかもしれません。

わんちゃんでは、特に何かの疾患が伴っていない、加齢性の変化や、体重の負荷などから起こる関節症ももちろんありますが、膝蓋骨内方脱臼や股関節形成不全などの骨格異常から二次的に起こる関節症が多いです。

特に小型犬のわんちゃんはかなりの確率で膝蓋骨に問題を抱えているので、お年をとった時に関節症が進行することが多いです。

症状として多いのは、

①動き出しのぎこちなさ

歩いている時は大丈夫なのに、寝ていた後の動き出しでぎこちなさがあったり、軽い跛行が出る。

②跛行

普段は大丈夫だが、運動のあとに跛行が出る。

日によって跛行が少し出ることがある。

③お散歩を嫌がる

お散歩に行くのを嫌がるようになった。

お散歩の途中で動かなくなる。

④活動性の低下

あまり遊ばなくなった。

寝てばかりいる。

軽い跛行は、意識していないと気づかないこともあるので、改めて観察してみてもらえるといいかもしれません。

ねこちゃんの変形性関節症の症状

ねこちゃんは実は関節症の罹患率の高い動物さんです。

わんちゃんとは違い、元々の骨格疾患に伴って二次的に起こるというよりは加齢性などで起きてくるタイプが多いのでお年のせいかなと思われることが多いです。

ねこちゃんは痛みがあるかなかなかわかりづらいですが、慢性痛を抱えている子の割合は多いと思います。

ねこちゃんで代表的な症状は、

①活動性の低下

寝ている時間が増えた。

遊ばなくなった。

②高いところに登りにくい

前足をかけて狙いを定めてジャンプするようになった。

高いところに登らなくなった/ジャンプしなくなった。

③習慣の変化

爪とぎをしなくなった/爪が厚くなって巻いてきた。

グルーミングしなくなった/毛艶が悪くなった。

④トイレ

おしっこがトイレからはみ出るようになった。

わかりづらいこともありますが、中年以降でこれらの疑わしい症状がある場合は関節症も鑑別診断に入ってきます。

治療法って?

わんちゃんでも人のような人工関節手術もあるのですが、変形性関節症が主原因で手術を選択されることが基本的にはあまりありません。

治療の主軸の一つは、減量です。

体重が多すぎる子は体重を10%〜落とすと、それだけで階段を登れるようになったということがよくあります。

あとは、運動制限や投薬による鎮痛なども実施します。

投薬は、NSAIDsという消炎鎮痛剤が中心になってくるのですが、

ねこちゃんでは高齢期に腎機能が落ちてくるので、腎臓に負荷がかかるNSAIDs系の薬は使いにくいこともあります。

そこで最近注目されているのが、慢性疼痛に関連している神経成長因子(NGF)という痛みの伝達物質を阻害することで疼痛を緩和させる1ヶ月に1回の注射薬です。

わんちゃん用もねこちゃん用も発売されているので、高齢期に肝臓や腎臓に問題を抱えている子でもリスクを最小限に抑えて治療ができる選択肢が増えました。(わんちゃんはリブレラ、ねこちゃんはソレンシアという商品名で2022年に発売されました)

さらにレーザー治療などの理学療法も緩和でよく実施されています。

最後に

前編、後編のつもりが長くなってしまったので、お休み明けにサプリメントなどの番外編もおおくりしたいと思います。

29日、30日とお休みをいただいていますので少しあいてしまいますが、ぜひそちらの方も読んでいただければと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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