
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
関節サプリの奥は深い!?
前回、Part.1でオメガ3脂肪酸が推奨されているという話をしましたが、本日はその他に有望な成分についても書いておきたいと思います。
獣医さんが解説する関節サプリの実際 part.2

関節サプリの有望成分
前回、グルコサミン、コンドロイチンの研究データがまちまちという話を書いたと思います。
有効性が曖昧なところがあり、今のところ効果がないわけではないものの限定的と考えられています。
さらに、COASTの推奨レベルが高いのはオメガ3脂肪酸という話も書いたと思います。
今回は、COASTの発表をもとに他の期待できる成分についても触れておきたいと思います。(わんちゃんでの話なのでご注意ください)
まず、よく使われている緑イ貝抽出物についてなのですが、こちらは小規模の研究で有効性は確認されているものの、製品ごとの品質に差がある可能性があり条件付きで推奨という形になっています。
有名なアンチノールはモエギ貝抽出物を成分としていますが、このモエギ貝というのは緑イ貝と同じものです。
あとは、将来的に期待されているのが、非変性Ⅱ型コラーゲンです。
この成分は、関節成分の一つとしてコラーゲンを補給することを目的に投与するのではなく、腸管でⅡ型コラーゲンが抗原と認識されることで、調節性T細胞を誘導し、関節内の炎症性免疫反応を抑制する免疫寛容を作用機序としています。
小規模ではあるものの、一貫して複数の研究で有効性が確認されており、データ数の問題で今のところ有望だが限定的(条件付き推奨)になっているので、今後の研究データの蓄積が待たれるところです。
サプリメントを使うなら?
これらの結果を踏まえた上での獣医さん的な所感は、
有効性が高いとされている成分は、全身に効いて関節の炎症も抑えてくれる抗炎症系のものが主体であることを考えると、関節を部分的に狙い撃ちをする成分は有効性が低い傾向があるのではと考えています。
そのため関節に関しては、栄養補給系の成分(関節軟骨の成分etc)は、経口摂取という面で関節だけに使われるとも限らないのでサプリメントの相談を受けたときにはその点をお伝えしています。
具体的に使い方のイメージとしては、
わんちゃんで多い膝蓋骨内方脱臼や股関節形成不全などの疾患がある場合で、まだ関節症が明らかでない場合は体型の維持、筋肉の維持と共に、関節系の療法食(オメガ3脂肪酸が配合されている)を導入を検討。
さらに、関節症が出てきた場合は、関節系の療法食に加えて必要に応じて緑イ貝系や非変性Ⅱ型コラーゲンなどのサプリメントを併用を検討。(もちろん状態によって薬なども併用します。)
実際問題として、日本ではまだ非変性Ⅱ型コラーゲン系は良いサプリがないので緑イ貝系(アンチノールなど)をおすすめしていますが、アンチノールの有効成分の中にオメガ3脂肪酸が含まれており重複している部分があるので、作用機序の違う非変性Ⅱ型コラーゲン系サプリでおすすめやすいものが発売されればいいなと思っています。
また、予防段階で関節系の療法食を食べている状態でさらに何かを使いたいという場合は、グルコサミンやコンドロイチン系のものを紹介したり、関節症がある子でも療法食+アンチノールにさらに何かを使っておきたいと希望される場合はグルコサミン、コンドロイチン系のサプリやグルコサミン+コンドロイチン+アボガド抽出物のサプリ(ダスクイン/アボガド抽出物はグルコサミン、コンドロイチンとの併用で効果があるというデータがある)を勧めたりしています。
最後に
非変性Ⅱ型コラーゲンはまだ日本に入ってきている動物用サプリメントがあまりないですが、海外ですでに注目されている成分なので、そのうち日本でも発売されると思います。
ぜひ注目してください。
あとは、ねこちゃんの場合は分かりづらい分研究が進んでいないという面があるので、最後の最後としてねこちゃんで今のところどんなデータがあるのかはまとめておきたいなと思っています。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ