獣医さんのコラム(189)獣医さんが解説するお口だけじゃない?歯周病が起こす病気って?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説するお口だけじゃない?歯周病が起こす病気って?

  歯周病がお口周りに起こす悪いこと

  お口だけではない悪いこと

  ・やっぱり最終的にはこれは避けられない…

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

実は歯周病が一番悩んでいる方が多い病気かもしれません。

以前、歯周病についてのシリーズを書いたのですが、本日は歯周病がお口周り以外にもかなり影響するよというところを書いてみたいと思います。

獣医さんが解説するお口だけじゃない?歯周病が起こす病気って?

歯周病がお口周りに起こす悪いこと

今日のテーマは口周り以外ですが、意外とお口でもどれくらい深刻な症状が待っているかは知らないことも多いと思います。

はじめに問題に気づくのは、口臭が発端になることが多いと思います。

口臭のもとをたどっていくと、口臭を起こるのは口の中で常時、異常な細菌が繁殖しているからです。

その細菌がどこに根付いているかというところが歯石ともいえます。

この細菌さんがミソで、口臭の元になるだけではなく、歯根に感染して膿がでて顔が急に腫れたり、溜まった膿が弾けて皮膚から出てきたり、骨を溶かして鼻の方に穴があいて鼻水・くしゃみが止まらなくなったり、さらには下顎骨を病的骨折させることもあります。

その上、細菌は口の中だけにとどまっていてはくれません。

これが今回のテーマです。

お口だけではない悪いこと

細菌さんが口の中にだけとどまってくれないというものの一つが菌血症です。

血中に細菌が入ってしまい、他の臓器に飛んでしまうことで全身にさまざまな悪影響をもたらします。

さらに、口の中で慢性炎症を起こしていること自体も体の中で炎症性物質が継続的に作られることで体の中の機能を邪魔します。

代表的なものとして、

①心臓での心内膜炎、弁膜症への影響

血中に入った細菌や慢性炎症が特に心内膜に炎症を起こしたり、弁の状態の悪化をもたらすことが指摘されています。

②慢性腎不全への影響

ねこちゃんを対象にした大規模診療データ解析や追跡研究で、歯周病がCKDの発症リスクや有病率と関連するとの結果が報告されています。

③糖代謝への影響

慢性炎症によって、全身性に炎症マーカーが増えるとインスリン抵抗性を上げることが指摘されていて、特にねこちゃんの糖尿病の管理に対する影響する可能性が指摘されています。

④誤嚥性肺炎

高齢で介護の必要なわんちゃんでの誤嚥性肺炎の発症に口腔内細菌の関連している可能性があります。

⑤肝負荷の上昇

慢性炎症や菌血症による肝数値の上昇が指摘されています。

実際に現場でもスケーリング・歯石除去後に肝数値が正常値に戻ったという経験はよくあります。

知らないうちに病気の元になっていると考えると怖い話ですよね。。

やっぱり最終的にはこれは避けられない…

そして、お口の問題で一番よく聞かれるのが麻酔をかけて処置しないといけないかどうかです。

残念ながら、はじめに書いた通り、歯石こそが細菌の巣になっている状態です。

なので、何らかの手段で歯石を除去する必要があるというのは確かです。

無麻酔のスケーリングも原理としては、細菌の巣の数を減らすことができるので意味がないわけではないのですが、他の疾患の原因になる歯肉の慢性炎症を改善させるためには歯周ポケットの中の細菌もきれいにしないといけないので、麻酔下スケーリングと全く同じ効果が得られないということを理解しておいてもらえたらと思います。

さらに、麻酔でスケーリングする意味の一つにぐらついている歯を処置できるということもあります。

無麻酔スケーリングは獣医師がするものではないので、抜歯などの医療行為はできません。

麻酔が心配という気持ちはとてもよく理解できますし、リスク0で麻酔をかけることはできませんが、獣医さんとしては、無条件に避けずに歯石がもたらす進行性の悪影響との兼ね合いをよく獣医さんと話しあってもらえると嬉しいなと思います。

最後に

ちなみにスケーリングしても、それを維持するために歯磨きは避けて通れないことなので、もしご興味がある方は歯周病シリーズも読んでみてくださいね。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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