
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
食欲の秋、そして寒くて動きたくない冬…
なんというかとても太りやすい季節です。
そこで今日は、肥満と糖尿病というところに注目してコラムにしてみました。
獣医さんが解説する肥満で糖尿病になるって本当?

肥満と糖尿病
人では糖尿病は生活習慣病と言われますよね。
では、動物さんの場合はというと、実は人間とは全く違う動物もいれば、人に近い形で糖尿病を発症する動物もいます。
糖尿病には大きく2つの型があります。
1つ目は、血糖値をコントロールするインスリンをつくる膵臓のβ細胞という細胞が壊れてしまって、インスリンの分泌量が減ってしまう1型糖尿病です。
もうひとつが、インスリンを分泌する能力は問題ないものの、生活習慣病、つまり肥満、高カロリーな食事、運動不足、ストレス、飲酒喫煙などが要因となってインスリンによってグルコースが細胞内に取り込まれるのが妨害されて(インスリン抵抗性が上がってしまって)、その結果、膵β細胞が疲弊してしまうことで、結果的に血糖値が制御できなくなる2型糖尿病です。
日本人はこの2型糖尿病の発症が90%~95%と言われています。
一般的に、わんちゃんは一つ目の1型糖尿病に近い病態になります。
一方でねこちゃんは、もうひとつの2型に近い糖尿病になります。
飲酒や喫煙などをするわけではないので、全てが同じではないですが、ねこちゃんの場合は人間に近く、生活習慣によって糖尿病を発症すると言えます。
そして、特にねこちゃんの場合は、共通してキャットフードを食べていて室内生活の子が多いので、何が直接的に問題に上がるかというと肥満なのです。
わんちゃんとねこちゃんの糖尿病
まとめると、
わんちゃんの場合は、膵細胞の破壊がされて起こる糖尿病が多いです。
その原因となっているのは生活習慣や肥満などより、自己免疫性の膵臓の破壊、慢性膵炎、発情周期に伴うホルモンの分泌、クッシング症候群やステロイドホルモンの使用、遺伝的要因が考えられます。
インスリン分泌量が減っているので、1日2回、インスリンを飼い主さんに注射してもらうという治療と血糖をあげにくくするような食事療法などをしてもらう必要があります。
一方で、ねこちゃんで一番大きな要因になっていることが多いのがインスリン抵抗性とそれによる膵臓の疲弊です。
しかも、インスリン抵抗性が肥満からきている子がとても多いです。
なので、インスリンの効きが悪い分を、外から追加で注射して補い膵臓への負担を減らしつつ、その間にダイエットしてもらってインスリンが効くようにしていくということが多いです。
治る糖尿病もある?
よく糖尿病って治りますか?と聞かれます。
実際、わんちゃんの飼い主さんに聞かれた場合は、治りませんと答えます。
ただ、ねこちゃんの場合は治る可能性もあるとお答えすることが多いです。
ねこちゃんの糖尿病は、インスリン抵抗性から始まっているので、もしその患者さんが痩せて自分のインスリンだけで血糖値をコントロールできるようになったら、インスリン注射から離脱できるということも実は割とあるのです。
ただし、そもそも糖尿病になってしまっているということは、体質的に血糖をコントロールする予備能力が少ないということを意味しています。
もし痩せてもインスリンの効きが十分でなかった場合や、高血糖が続きすぎて膵臓自体にダメージが出てしまっている場合はダイエットが成功しても離脱できないということもよくあるので、必ず治るというわけではないです。
なので、ねこちゃんの場合は糖尿病を発症したらなるべく早く、治療に入って体重管理などをしないといけないのです。
糖尿病の特徴は、飲水量が増えておしっこの量が増えることなので、ぜひ見逃さないようにしてくださいね。
最後に
飲水量が増える病気は色々あります。
ねこちゃんの場合は腎臓病の方が有名ですが、意外と糖尿病の子もチラホラいるので頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ