獣医さんのコラム(221)獣医さんが解説する安楽死について

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する安楽死について

  そもそも安楽死って?

  動物病院での実際

  ・安楽死の基準は?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

本日は重いテーマについての話をしたいと思っています。

今回のお話は『安楽死』についてです。

死については正直、話題にしづらい話ですが、動物さんと暮らしているといつ何時どういう状況になるかは分かりません。

もし、実際に安楽死を考えないといけない状況になったときに、どう考えて結論を出せばいいかという一つの道標として知っておいていただけたらと思います。

獣医さんが解説する安楽死について

そもそも安楽死って?

日本では、人の医療において安楽死は許されていません。

TVなどで尊厳死という言葉が議論されていると思いますが、これは胃ろうや人工呼吸器などによる無理な延命を行わずに死を受け入れるかどうかという消極的安楽死についての話で、今のところ、積極的な安楽死が議論されることは基本的にありません。

一方で、動物医療に関しては、積極的安楽死つまり獣医師が薬剤などを投与することにより直接死を引き起こす処置が許されています。

今日のお話は、この積極的安楽死が実際に動物病院でどう取り扱われているのか、そしてどういう基準で安楽死が選択される可能性があるのかというところに絞って書かせていただきたいと思います。

動物病院での実際

実際のところ動物病院では、時々、安楽死処置を行うことがあります。

どういう経緯で処置を行うかというと、大きく3つのケースに分かれることが多いです。

一つ目は、飼い主さんが希望されて行う場合です。

二つ目は、獣医師から今後の選択肢の一つとして提示し、それを選択される場合です。

三つ目は、安楽死という希望を持って転院されてくる場合です。

ただし、すべての患者さんで安楽死が行われるわけではなく、同じ状態の患者さんでも安楽死が選択されるのは一部です。

なぜかというと、安楽死という処置自体が獣医師や飼い主さんの死生観に左右される色合いが強いからです。

獣医学においては、安楽死に対する明文化されたルールはなく、獣医師の判断に委ねられています。

飼い主さまの中にも絶対に安楽死はしたくないという方から、苦痛しかない状況になったら安楽死を選択したいという方まで色々な考え方の方がいるように、獣医師にも安楽死処置をすべて断っている病院もあれば、状況が該当すれば安楽死をお話しする病院もあります。

そういった経緯もあり、元々かかっていた病院で安楽死をしていないために別の病院を探される方もいらっしゃるということになります。

この処置を実際に選択するかどうかは各々の考え方によりますが、選択肢に上がった時に判断材料としてどういう基準で選択されるかということを知ってもらった方がいいと思っています。

安楽死の基準は?

安楽死の基準として一番重要なことは、

①回復の見込みがない状態であると診断されている

②苦痛を生んでいる、もしくは苦痛を生むことが確実な状況

③飼い主がそういう事態を受けて安楽死を希望している

ということを前提に進められます。

実は、これに関しては国によってかなり価値観や基準が違って、アメリカなどでは治療費が払えず治療ができないということも安楽死処置の理由になることがあります。(一部の国では、苦痛があるのに治療ができないという方を重くみるという考え方をされることがあります)

ただし、日本においては、基本的に飼い主さまの希望だけや、治療費が払えないという理由で安楽死処置が適応にならないということは覚えておいてもらえたらと思います。

最後に

安楽死の有無は、正直にいうと何が正解かを評価できない部分だと思います。

例え獣医師が勧めたとしてもそれを選択しなければいけない理由にはならないと思います。

逆に、獣医師が拒否しても、適応基準に照らし合わせた上で、家族でよく話し合って考えを尽くして決めた選択肢については重く受け止めなければならないとも思っています。

かなり重い話でしたが、ぜひこの処置についても知っておいてもらえたらと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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