獣医さんのコラム(282)獣医さんが解説するとにかく苦しい!病気3選

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説するとにかく苦しい!病気3選

  呼吸が苦しいは救急です柴犬

  肺水腫

  胸水貯留

  気管虚脱

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

本日は救急分野のお話をしたいと思っています。

救急で一番重要なのは、生命維持に支障をきたすかどうかということです。

その中で『呼吸機能不全』というのは生命維持という面においても、患者さん本人のしんどさにおいても重大な状態です。

今回はそんな呼吸が苦しくなる原因や病気についての話をしたいと思います。

獣医さんが解説するとにかく苦しい!病気3選

呼吸が苦しいは救急です

さわりでも書いた通り、呼吸というのは人にとっても動物にとっても生命維持のために不可欠な機能です。

慢性的に呼吸機能不全であればある程度の時間的な猶予は確保されますが、動物たちで起こる多くの呼吸不全は急性で起こります。

そして急性で起こった場合、多くの場合は進行性もあるため、なるべく早く治療を開始しないといけないということが多いです。

特に、脳や心臓などの重要臓器は酸素の要求量も多いため、低酸素状態がエマージェンシー状態に陥るきっかけになりやすいとも言えると思います。

肺水腫

わんちゃんの呼吸不全で一番多いのが肺水腫です。

本来、空気で満たされている肺胞という空間に液体がたまってしまう病態で、例えるなら水の中ではないのに溺れているという状態です。

肺水腫を起こす原因には、心臓が原因となるものと心臓以外が原因となるものがあるのですが、わんちゃんの場合は心臓が原因となるものが非常に多いです。

さらに、突き詰めるとその中でも僧帽弁閉鎖不全症という心臓の中の弁の病気が原因となっていることが多く、弁に異常が出ることで、心臓が抱えきれなくなった血液の液体成分が心臓と連結している肺の方に染み出してくることで肺水腫になります。

今回、ご紹介する3つのうち、この肺水腫が一番緊急性が高いと言えるかもしれません。

血液という液体が、圧力がかかった状態で出口を見つけて滲み出てきて、それに伴ってどんどん呼吸が苦しくなるというイメージを持ってもらえると、救急性が高いのが伝わるのではないかと思います。

胸水貯留

肺水腫は肺胞の中に液体がたまる話でしたが、肺の外に液体がたまることが原因となって呼吸ができなくなるのがこの胸水です。

胸の中のスペースは肋骨という骨組みで仕切られており広がりにくいので、限られたスペースに液体が貯留していくと肺が膨らむスペースがなくなり、呼吸が苦しくなります。

ちなみに心臓(左心不全)があると、犬では肺水腫の方が起こりますが、猫の場合は胸水がたまることがあります。

また、胸腔内に腫瘍や炎症が原因で胸水がたまることもよくあります。

特徴としては、肺水腫に比べると滲み出てくるのを押し留める方向に圧力がかかるので、呼吸は苦しくなってくるものの、肺水腫に比べるとゆっくり症状が悪化することが多いというところかもしれません。

気管虚脱

肺に関連したものを2つ取り上げましたが、最後は気管の病気です。

気管虚脱は、犬の首の気管の軟骨が入っていない背中側の部分が落ち込んでしまって呼吸に支障が出る病気です。

程度の差はあれど、この病気を持っているわんちゃんは非常に多く、若い頃はたまにガーガー呼吸をする程度の症状だったものが、加齢とともに悪化していくというケースが多いです。

特に、日頃から悪化傾向にある子が、発作的なガーガー呼吸が止まらなくなってしまい、苦しくて夜も寝られずに病院に緊急来院されるというようなことが起こります。

頚部の気管虚脱は、気管が潰れてしまうことで息を吸いたいのに吸えないという状態に陥るので、日頃からガーガー咳を持っている子はこれからの季節、状態の悪化にご注意いただけたらと思います。

最後に

緊急性ももちろんですが、「苦しい」という症状はかなりの苦痛が伴うものなので、呼吸関係はなるべく早くに病院へ行っていただけたらと思います。

病院に行ったら、呼吸状態によっては優先で診てもらったり、順番を待つ間に酸素室で待機という対処をとる場合もあるので、必ず症状を受付でしっかり伝えてくださいね。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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