獣医さんのコラム(335)獣医さんが解説する『低○○』で危険なものは?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する『低○○』で危険なものは?

  ・低血糖

  ・低アルブミン(ALB)血症

  ・低カリウム(K)血症

  ・低ヘマトクリット値(低Ht/低PCV)

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

昨日は高くて困る数値の話をしたので、今度は低いと危険な数値を何個かご紹介したいと思います。

どちらかというと、高いより低いものの方が緊急性が高い場合が多く、色々と種類はあるのですが、その中でも遭遇することが多いものを集めてみました。

獣医さんが解説する『低○○』で危険なものは?

低血糖

糖尿病の治療をしている子に必ずお伝えすることが、「低血糖は危ない」です。

昨日は高血糖が続くと色々な場所が障害されて…という話をしたのですが、低血糖に陥るともっと救急的な意味で危ないです。

なぜなら、体を司っている大本は脳であり、脳はブドウ糖を消費して動いている臓器だからです。

つまり、低血糖になると脳に栄養がいかなくなり、脱力、ふらつき、震え、痙攣などの症状がでて、重度の場合は命に関わります。

ちなみに、低血糖になる代表例は糖尿病でのインスリン治療と、子犬の低血糖です。

その他にも、インスリノーマ(インスリンを分泌する腫瘍)、敗血症(重度の感染)などでも低血糖に陥ります。

低アルブミン(ALB)血症

アルブミンと聞くと「何だろう?」と思われると思いますが、血液中にもっとも多く含まれるタンパク質の一種です。

このタンパク質は、ただ単なるタンパク質の摂取量などを表しているというわけではなく、とても重要な役割を担っています。

1つ目は、血管内に水分を保持することです。

アルブミンが低いと血管内から水分が漏れてしまい、お腹に水がたまったり(腹水)、組織に水がたまってしまったり(浮腫)を引き起こします。

2つ目は、血中の重要成分の運搬を担っていることです。

脂肪酸、ビリルビン、ホルモンなどと結合し目的の場所に運搬する役割を担っています。

つまり、アルブミンが足りないと、体の正常な機能が保てないくらい重要な成分なのです。

ちなみに、低アルブミンになる原因は栄養不足ももちろんのこと、腸管の疾患で吸収量が低下することや、アルブミン合成に関わる肝臓機能の低下など様々ありますが、どれもかなり重大な疾患に関わっています。


低カリウム(K)血症

カリウムは電解質という体の中のミネラルの一つです。

血液検査では、主にナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)という電解質をチェックするのですが、カリウムはその一角を担っており、特に正常範囲を逸脱すると問題になりやすい成分です。

そして、低カリウム血症を起こしていることが特に多いのが高齢のねこちゃんです。

高齢で腎臓などが悪く、多飲多尿があるとカリウムが尿中に排出されていってしまいます。

そこに、食欲低下が加わると摂取するカリウム量が低下し、下痢や嘔吐などがあるとさらに出ていくカリウム量も増えてしまい、結果的に低カリウムに陥ってしまうというわけです。

低カリウム血症が続くと、首が持ち上げられなくなり首を下げたままよろよろ歩くといった症状が出ます。

低ヘマトクリット値(低Ht/低PCV)

最後にご紹介するのが、低ヘマトクリット値です。

低PCVとも言われたりしますが、動物病院ではほぼ同じ意味で使われています。

これは、要は貧血しているということを意味しています。

貧血は、体のどこかで出血していても起こりますが、出血していなくても慢性疾患を患っていると貧血が進行してきたり、慢性腎不全が進むと腎臓が産生する骨髄へ働きかけるホルモンが低下し貧血を起こすこともあります。

血が足りないと、全身に送らなければいけない酸素を十分に運搬できなくなるので、それをカバーしようと心臓や肺が過剰に働き、結果的に息切れ、動悸、ふらつき、体のだるさという症状が出ます。

最後に

人間も動物さんの体も絶妙な生理機能によって支えられているので、数値は高くても低くても良くないというのが結論ではあるのですが、2日にわたって特に問題になりやすい数値を取り上げてみました。

血液検査の結果を見返してもらうと、ご紹介した項目が出てくると思いますので参考になれば幸いです。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

当サービスのご利用にあたって

オンライン相談では、

診断をつけたり、

お薬を処方することは

できません。

動物たちのより良い生活や

より良い医療のための

サービスであることを

ご理解ください。

サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor
サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor