
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日は、昨日の続きです。
昨日まとめたように、年と共にお水を飲む量が増えるのは実は病気のサインということが多いです。
本日はそんな症状が出る有名な病気を4つ選んでまとめました。
獣医さんが解説するお水を飲む量が増える病気4選

お水を飲む量が増えるという症状を医療的には「多飲症」といいます。
実は、皆さんが思っているよりよく見る症状です。
「多飲症」があると、同時におしっこの量も増えるので、トイレに行く回数や量で気づく場合あります。
・クッシング症候群(犬)
ステロイドを飲むと、飲水量や尿量が増えるという副作用が出るというのを聞いたことはないでしょうか?
この薬の副作用と同じ原理で起こるのが、身体の中でつくられている内因性ステロイドの量が増えるクッシング症候群という病気です。
脳の下垂体という部分が腫大して、副腎というステロイドをつくっている臓器に過剰に指令がいくことで副腎が肥大し内因性のステロイドの量が増えるため、易感染性や血栓症のリスクの増加、筋肉の薄化などを起こします。
・慢性腎不全(犬・猫)
慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に落ちていく病気です。
特に、ねこちゃんは年をとると総じて腎機能が落ちてきます。
腎機能が落ちてくると、尿の濃縮機能も低下し身体が脱水に傾きます。
そのため、腎機能が低下するにしたがって飲水量が増えていきます。
・子宮蓄膿症(犬・猫)
ねこちゃんでも子宮の中に膿がたまることがありますが、わんちゃんの方が断然多い病気です。
子宮蓄膿症になると、食欲もなくなりますが、飲水量も増えることが多いです。
開放型だと敷物に血混じりのおりものがつくので異常に気付きやすいですが、閉鎖型といって全く膿が出てこないパターンもあるので注意が必要です。
・糖尿病(犬・猫)
糖尿病でも血中のGluが高くなることで水分が引っ張られて、尿量や飲水量が増えます。
わんちゃんとねこちゃんとは病態が少し異なっていて、猫ちゃんの糖尿病は人間と同じ生活習慣で発症します。
肥満がインスリンの作用を抑制してしまうので、ねこちゃんは太らせすぎ注意です。
最後に
身体の中で炎症があると飲水量は増えます。
なので、具合が悪い時によくお水を飲むというのはよくあることです。
ただし、これは一過性のものなので、お水をよく飲むのがずっと続く場合は何かしらその原因になっているものが身体の中に常にある状態です。
ちょっとしたサインから病気が見つかることがあるので、あれ?と思ったら相談してくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ