
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
昨日、多飲症を起こす病気を4つ選んでみましたが、4つのうち3つは慢性疾患なので、
今日はじゃあ、どうお付き合いしていけばいいの?ということをまとめてみようと思います。
意外とよく遭遇する病気なので、実際に病気が発覚した時にどういう治療をするのかも知ってもらえたらいいなと思います。
獣医さんが解説するお水を飲む量が増える病気の治療法

・クッシング症候群の治療法(犬)
脳の下垂体という部分が腫大して、下垂体からコントロールを受けている副腎というステロイドをつくっている臓器が大きくなるというタイプ(下垂体性)がほとんどですが、副腎が腫瘍化しているパターン(副腎性)も少数あります。
副腎性の場合は、手術が第一選択になります。
下垂体性の場合は、①薬(トリロスタン)②薬(ミトタン)③外科摘出④放射線治療があります。
一般的なのは、①薬(トリロスタン)による治療で、内因性のステロイドホルモンの生成を抑える効果があります。
昔は、価格が高かったですが、新しく安価な薬が発売されたりと使いやすくなってきました。
注意点は、人に対しても作用するので吸い込まないことです。
②ミトタンは副腎のホルモンをつくる部分を破壊する薬なので、トリロスタンでコントロールできない場合に検討する薬という位置付けです。
③外科摘出④放射線治療は受けられる施設が限られていたり、リスクのある処置です。
そのため、下垂体の腫大が顕著で脳を圧迫し症状がある場合などに選択されていることが多いです。
・慢性腎不全の治療法(犬・猫)
慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に落ちていく病気で、治すことは難しく進行していきます。
なので、治療の目標は腎機能の低下のスピードをなるべく遅くすることや、腎機能が低下したことで起こる症状を抑えていくことになります。
腎臓は、身体の中のゴミ捨て場のようなものなので、ゴミの量が増えると腎臓により負荷がかかります。
なので、腎臓食という低タンパク、低塩分、低リンのごはんを使って負荷が軽くなるようにしたり、脱水を皮下点滴で補ったりと、薬を含めて色々なものを組み合わせて治療します。
・子宮蓄膿症の治療法(犬・猫)
子宮蓄膿症の治療は、第一に外科的な子宮の摘出です。
手術がどうしても難しい場合は、抗生剤を使って治療しますが、蓄膿している状態を抗生剤だけでは治すことが難しい場合あります。
治療の時期を逃すと、敗血症になって亡くなってしまう怖い病気です。
・糖尿病(犬・猫)
血糖値が上がりづらくなるごはんとインスリンの注射で血糖値をコントロールしていくというのが治療になります。
基本的にはインスリンを1日2回打ってもらうのですが、
ねこちゃんの場合は体重を落とすことでインスリンの必要量が減って、薬から離脱できるようになる子もいます。
ねこちゃんは、病院に来たりするだけで血糖値が上がってしまうことが多いので、今まではなかなか血糖値を調整しづらかったのですが、最近はフリースタイルリブレという身体に装着することで24時間血糖値を測ってくれる機械が出てきて便利になりました。
最後に
慢性疾患は、薬などを使って毎日コントロールしたり、病院に通わないといけないので大変です。
ただ、しっかりコントロールできると、元気に過ごせる病気でもあります。
大切なのは、早期発見です。
「あれ?」と思ったら、その違和感を大切にしていただければなと思っています。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ