
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日は、先週木曜日に間違って予告を出してしまった避妊手術についてのコラムをおおくりしたいと思います。
お待たせしました!
女の子をお迎えしたら、手術した方がいいの?でもちょっと怖いし…と思われる方も多いのではないでしょうか?
今回は獣医さん目線でのいいところと悪いところを踏まえてお話をさせてもらえればと思います。
獣医さんが解説する避妊手術って必要なの?

・避妊手術の良いところ
子宮蓄膿症はわんちゃんで多い病気ですが、ねこちゃんでも起こります。
避妊手術をすると、この病気は確実に防げます。
また、メスのわんちゃんの腫瘍のうち約半数をしめる乳腺腫瘍も初回発情前に避妊手術を行うと、発生確率が0.5%まで低下することがわかっています。
ねこちゃんの場合は、6ヶ月未満で手術をした場合は91%、1歳未満で86%発生確率を下げられることがわかっています。
ねこちゃんの乳腺腫瘍は90%以上の確率で悪性なので、乳腺腫瘍を防げることはかなり大きなことだと思います。
あとは、発情の食欲の低下や出血といったことが防げることや、ちょっと専門的なことになりますが、糖尿病などの治療の時にホルモン状態の変化が治療に影響する場合もあるので、病気のコントロールに避妊手術が有効な場合があります。
・避妊手術の悪いところ
避妊手術をするためには、麻酔をかけて、開腹手術が必要です。
麻酔に関しては、術前検査をしっかりしたとしても100%安全性を担保してかけることはできません。
開腹して卵巣や子宮を摘出するので、出血するリスクや尿管など他の臓器を巻き込んでしまうようなリスクは0ではありません。
また、術後の変化として、避妊手術を受けることで太りやすくなります。
その子の体質にもよりますが、病院で体重の指導を受けて、カロリー管理を頑張ってもなかなか痩せられないということもよくあります。
特に、ねこちゃんは太らせてしまうと糖尿病や尿石症のリスクが増すので注意が必要です。
あとは、中型〜大型犬で女性ホルモンが出ないことで尿の括約筋が緩み、何年か経って尿漏れを起こすわんちゃんがいます。
・獣医さん的にした方がいい?
獣医さんだと誰しも、子宮に膿が溜まってしまって手術が第一選択だけど、高齢で心臓も悪くて麻酔をかけて手術するにはリスクが高い…どうしようか…と悩んだことがあると思います。
持病があって、さらに膿が溜まっているせいで身体の状態も悪い中で手術を選択肢しないといけないこともあるので、そういうときは、若い頃に避妊手術をしていたら良かったのにな…と思う場面があります。
私もそういう子に何回も会っているので、やっぱり若くて健康なうちに手術を受けておいてほしいなと思っていますし、同じ経験をしている獣医さんは、やっぱり手術を勧めることが多いのではないかと思います。
あとは、避妊手術など予防的な手術で麻酔や手術を受けた経験があるかどうかで、お年をとって、いざ麻酔をかけての検査や手術が必要になった時に、一度経験して大丈夫だったからという心理的なハードルが下がるように思います。
動物さんは検査するにも麻酔が必要なので、このハードルが高いか低いかで治療の選択肢がかわってくることも多いと感じています。
そういった意味でも、手術はできれば検討してもらえたらと思っています。
最後に
避妊手術は必ず必要な手術ではないことも事実です。
したくないのに…という気持ちを押し殺してするべきものでもないと思うので、
するにしてもしないにしても、よく獣医さんと話した上で決めてもらえたらと思っています。
かかりつけ病院さん以外の意見も聞きたいという方はぜひトークベッツに相談してみてくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ