
もくじ
1. ごあいさつ
2.獣医さんが解説する避妊手術、実際の手術ってどんな感じなの?
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
昨日の避妊手術についてのお話を書いているうちに、書き足りないことがいっぱい出てきたので、
本日は、実際の手術ってどんな感じでしているのかなど手術の中身についてをお話ししてみたいと思います。
実際の手術のことがなんとなくイメージできると嬉しいです。
獣医さんが解説する避妊手術、実際の手術ってどんな感じなの?

・麻酔ってどんな感じ?
麻酔と一言で言っても、動物病院で使う麻酔は、吸い込むことで麻酔をかける吸入麻酔と、血管から注射する静脈麻酔という2つの麻酔方法を使うことが多いです。
動物病院によって、麻酔の組み合わせは様々ですが、最近多いのは、静脈麻酔でまず麻酔をかけて、吸入麻酔で手術中は麻酔を維持するパターンかなと思います。
手術中は、吸入麻酔の維持のために、気管に呼吸用のチューブを入れたり、マスクをつけて呼吸をサポートします。
麻酔中は、自力呼吸を残す場合と、呼吸を止めて機械で管理するパターンとがありますが、
どちらで呼吸を管理しているかは病院によって様々です。
ちなみに、麻酔は注射薬を入れるとすぐにかかりますが、麻酔から覚めるまでには時間がかかります。
なので、手術が終わると、まずは手術室で麻酔が覚めてくるのを待って、ある程度覚めたところでお部屋に移して状態を見守ります。
・避妊手術ってどんな感じ?
避妊手術は、お腹を開けて卵巣と子宮、もしくは卵巣を取り出す手術です。
今のところは、卵巣と子宮の両方を摘出することが多いのではないかと思いますが、どちらの手技でも、お腹を切るために、まずはお腹の毛を刈って消毒します。
毛刈りを嫌がられることもありますが、毛があるとしっかり消毒できないので感染という観点からしっかり毛刈りをする必要があるので、少しだけ我慢してもらえればと思います。
消毒が終わったら、メスで皮膚を切りお腹の下にある皮下脂肪を処理して、腹壁を切ってお腹の中にアクセスします。
わんちゃんはお臍〜お臍のすぐ下、ねこちゃんはもう少し下を切ることが多いですが、どの程度切るかはその病院の方針によります。
初回発情前のねこちゃんだと、1cm程度の傷口で手術するところから5cm以上の切開をするところまで色々です。
傷口が小さいことが安全で良い手術というわけではないのだけ頭の片隅において説明を受けてもらうといいと思います。(傷口が小さいとお腹の中がよく見えないことやかなり臓器を引っ張っての手術になります。傷口が大きいと侵襲が大きくなります。)
ちなみにわんちゃんもねこちゃんも子宮が二股に左右に分かれていてその先に卵巣があります。
子宮は1番尾側で(尻尾に近い側)1つになって膣につながっています。
手術では卵巣の血管と子宮の根本を糸で括って摘出しますが、医療機器を使って糸を使わずに焼き切る方法も使われていて、HPで「糸を使わない手術」と説明されている手術はこの医療機器を使った手術のことです。
ただし、どちらの手術でも腹壁と皮膚の表面は糸を使って縫っています。(皮膚の表面は医療用のホッチキスなどを使っている場合もあります)
これも病院によりますが、大体1週間程度で抜糸といって、皮膚の表面の糸(またはホッチキス)をとって傷口をチェックすることが多いです。
・入院ってどんな感じ?
避妊手術は1泊入院のことも多いですが、当日退院や2日入院など、病院によって様々です。
体感としては、当日はしんどそうにしていることも多いので一泊は病院で様子を見た方は安心できるかなとは思いますが、動物病院は夜は無人になったり、カメラだけや見回りだけの場合もあるので、よく話を聞いてもらい安心できる病院を選んでもらえたらと思います。
最後に
基本的に、予防の手術で何か起きるということは少ないのですが、
何例も手術していると、やはり麻酔中に不測の事態が起きたり、術中に出血したり、入院中にトラブルが起きたりということもあります。
手術を後悔しないためにも、そういった予期せぬこともあり得るということをしっかり説明して向き合ってくれる病院を見つけてほしいなと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ