
もくじ
1. ごあいさつ
2.獣医さんが解説する去勢手術、実際の手術ってどんな感じなの?
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
昨日の避妊手術についてのお話を書いているうちに、書き足りないことがいっぱい出てきたので、
本日は、実際の手術ってどんな感じでしているのかなど手術の中身についてをお話ししてみたいと思います。
実際の手術のことがなんとなくイメージできると嬉しいです。
獣医さんが解説する去勢手術、実際の手術ってどんな感じなの?

・去勢手術ってどんな感じ?
避妊手術はわんちゃんとねこちゃんにそれほど大きな術式の違いはないですが、去勢手術の場合は、かなり違います。
わんちゃんの場合は、睾丸がお腹側についているので、仰向けの体勢で睾丸の上側の皮膚を切って、
精巣だけを取り出して、精管と血管を糸で縛って摘出します。
多くの場合は皮下と皮膚を縫うので、術後に抜糸をするところが多いと思います。
ねこちゃんの場合は、左右の陰嚢を直接切って、それぞれの精巣を取り出します。
糸で縛ることもありますが、精管と血管を結んで糸を使わずに摘出することもあります。
陰嚢を切った傷は、縫わないことが多いと思います(医療用のボンドでつけている先生もいるかも?)。
縫わないので抜糸は必要ないです。
ちなみに、<5分で終わってしまう手術なので、わんちゃんと麻酔の仕方が違うこともあります。
総じて、去勢手術は手術時間も短く、侵襲も低いので、当日から割と元気なことが多いですが、
たまに、痛がりさんの子で「キャンキャン」鳴いていましたと言われることもあります。
・潜在精巣の手術ってどんな感じ?
精巣は、体温の影響を受けないように陰嚢という場所に2つあるのが正常です。
胎児のときは精巣はお腹の中にあって、わんちゃんでは生後30日以上かけて、正常な位置に降りてきます。
精巣が降りてくる途中で陰嚢まで降りきらずに皮膚の下に片側もしくは両側の精巣が残ってしまうのが、皮下陰睾です。
さらに手前でお腹の中に残ってしまうのを腹腔内陰睾です。
成長を待っても正常な位置に精巣が触知できない場合は、もう少し月齢が進んで精巣が育つのを待って皮下にあるのか、お腹の中にあるのかを触診やエコーでチェックしつつ、摘出手術を勧めます。
この潜在精巣に関しては、1つ前のコラムでも書いたように、高齢期に10%以上の確率で腫瘍化すると言われているので、通常早めに手術をするようお話ししています。
ちなみに、片側が正常位置、もう片側が皮下にある場合は、睾丸の少し上の去勢手術の通常の切開位置に加えて、皮下陰睾の直上の2カ所を切って精巣を摘出します。
片側が正常位置、もう片側がお腹の中にある場合は、通常の切開に加えて、陰茎の横の皮膚を切って開腹してお腹の中の精巣も摘出します。
さらに、どうしても精巣が見つからない場合は開腹して、お腹の中の精管をたどって場所を特定することもあります。
・入院ってどんな感じ?
通常の去勢手術の場合は、わんちゃんもねこちゃんも当日退院の病院が多いのではないかと思います。
ただし、潜在精巣で開腹手術になる場合は1泊入院になることがあります。
潜在精巣のわんちゃんは、どこに精巣があるかでかわってくるのでよく確認してくださいね。
最後に
ちなみに、今回は麻酔の項目をつくりませんでしたが、
ねこちゃんの去勢手術は、かなり短時間で手術が終わってしまうのでわんちゃんと麻酔の内容や麻酔の方法が違うこともよくあります。
さらに、野良猫さんや、怒って触らしてもらえないねこちゃんの手術をすることもあるので、その場合は吸入麻酔が充満した麻酔ボックスの中に入ってもらって麻酔をかけたりと、ケースバイケースで方法をかえたりもしています。
少しでも参考になれば幸いです!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ