
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
少し前に、避妊手術や去勢手術についてのシリーズをお送りしましたが、
本日はそれに関連して、手術の時に言われる「絶食絶水」についての話をしてみたいと思います。
実は、検査を受ける時も絶食絶水の方がいいので、そのことについてもお話ししようと思っています。
獣医さんが解説する絶食絶水の秘密!

・手術前の絶食絶水
実は、手術の前の絶食絶水は、抜き忘れていた場合は延期しようかという話になる重要事項です。
でも、何で?ということはあまり知られていないように思ったので、解説してみたいと思います。
手術の時は、麻酔をかける必要があります。
麻酔をかける時は、血管から麻酔薬を急速に投与するので、胃の中に食事が残っている場合、麻酔薬の作用で嘔吐が誘発される場合があります。
普段、嘔吐する分には問題ないのですが、麻酔がかかっている状態で嘔吐してしまうと、
喉の機能が働いていないので、気管に吐物が入ってしまい窒息や誤嚥する危険があります。
なので、なるべく安全に麻酔をかけるために絶食絶水が必要なのです。
ちなみに、絶食絶水とセットで言いますが、食事に比べて液体はすぐに胃から排出されるので、朝にお水を飲んでしまったというケースは基本的に問題ないと思って大丈夫ですが、食事は意外と胃の中に長く残っている子がいるので必ず抜いてくださいね。
そして、ごはんを抜き忘れた時は必ず申告してください!
・検査の時の絶食絶水
検査の時に絶食絶水をお願いされるときと、されないときがあると思いますが、健康診断や検査予定があるときは、指示がなくても絶食絶水の方が実はいいです。
動物病院での検査は、大きく分けて血液検査、レントゲン検査、超音波検査があるのですが、
超音波検査では、空気があると超音波が通らず、その下にあるものが見えなくなるという特性があります。
そのため、胃の中に食事が詰まっていると、その近くにあるものが観察しづらくなってしまい、しっかり検査ができないことがよくあります。
また、しっかり胃から食事が排出しているかなど機能的なこともわからないので、せっかく受ける検査でわかることに制限がかかってしまうのが本当にもったいないです。
血液検査に関しても、食事をとると食事性で上昇してしまう項目があるので、病気のせいでの数値上昇なのか、一過性なのかを判断するためにも絶食の方が好ましいです。
最後に、検査のためや、検査した後に鎮静や麻酔が必要になった時も、そのまま処置に入れるので絶食絶水で来院いただけるととてもスムーズです。
食べさせようか迷った場合は絶食で来院をしてもらうことをおすすめします!
最後に
毎日説明していると、ついつい、言葉を省略しがちになってしまって、
なぜそれが必要なのかを十分に説明できていなかったなと思う時があります。
その一つが、絶食絶水だなと思います。
言葉が足りないことの裏側が少しでも伝われば嬉しいです。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ