もくじ
1. ごあいさつ
3. それって必要…?
4. 最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
今の時期、フィラリア予防が終わりに近づいてきてちょっと予防もひと段落。
ちょうど4〜5月の予防と合わせて何かの検査をしている方が多いので、半年たった秋は、健康診断や再検査などを受けて欲しいなと獣医さんが考える時期です。
そこで、今回は健康診断について取り上げてみたいと思います。
健康診断ってどんなことするの?
人間の健康診断というと、血液検査や身長、体重、血圧、心電図、視力検査や聴力検査などを思い浮かべるのではないかと思いますが、わんちゃん、ねこちゃんの健康診断はちょっと違います。
一番スタンダードなのは、身体検査と聴診に血液検査が加わったパターンだと思います。
病院で働いていて思うのは、人の腫瘍マーカーなどのイメージが強いからか、血液検査だけで癌や病気がなんでもわかると思われがちなのではないかということです。
それは残念ながら間違いです。
昨年、一昨年ぐらいから犬の腫瘍マーカーの検査が始まりましたが、まだ一般的ではなく、現状、血液検査では肝臓系の数値、腎臓系の数値、蛋白質の値、血糖値や血球の数などをみているだけです。
当然、数値が上がっていれば何か病気があるかもしれないと推測し、さらに詳しい検査に進むのですが、病気があっても数値が上がるとは限りません。
さらに詳しく検査をするとなると、次はレントゲンや超音波検査という画像の検査を組み合わせて視覚的に異常がないかを評価します。
加えて、尿検査や便検査や眼の検査も行うこともあります。
それって必要…?
獣医学的には今は先制医療の時代で、発症する前もしくは初期に病気を発見して発症させないようにケアや早期の治療介入を行うことで、より健康に過ごしましょうという考え方が一般的です。
私も動物病院で健康診断のキャンペーンを春と秋にしていました。
その結果、早期に異常を見つけられたケースも数多くあり、異常を見つける意味で健康診断は受けて欲しいなと思っていました。
でも、もう一つ重要だなと思ったのが、健康診断で異常なしという結果が出たとしても、どの時点まで異常がなかったかがデータとして積み上がっていることで、何かが起こった時に正確な診断ができることです。
つまり、何かが起こって来院した時に検査をすると、何個も異常な場所が見つかることがよくあります。
何もデータがない子だと、どの異常がいつからあって、今起こっている症状の主原因がどれかを判断することが難しいケースがあるのです。
そういう意味でも、検査の積み重ね、特に血液検査だけではなく画像検査なども一緒に定期的に受けていてもらえたらいいなと思います。
最後に
今回から健康診断についての話をはじめてみました。
またこの話も、話せば長くなるので何回かに分けて書かせてもらえたらと思っています。
動物医療においては飼い主さんの気持ちや考えがとても重要なので、医療的な正しさとその方の価値観とのバランスを取るのが一番重要だと思います。
健康診断から派生するそんな話も書けたらなと思っています。
ではまた、次のコラムでお会いしましょう。