
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
昨日、公式LINEにお友達登録していただいた方にメッセージ配信させていただきましたが、やっとインスタライブのアーカイブのお部屋がオープンしました!
特典動画は間に合わなかったので、ひとまず過去のインスタライブ動画のみUPしております。
さて、コラムの方は歯周病の治療法の2つ目の抜歯の話をまとめてみます。
獣医さんが解説する歯周病の治療法って?②

スケーリングの時の抜歯
スケーリングをすると、かなりの割合で歯も抜くことが多いです。
歯肉退行や炎症があると歯根が浅い切歯(前歯)と第1~3の前臼歯はぐらつきやすいです。
残せる歯は残しますが、動揺がひどい歯は抜歯することで歯肉の状態が改善しやすくなり、他の歯をきれいに維持しやすくなるので抜歯してしまうことが多いです。
こういった歯根の浅い動揺歯は、歯科器具を使うと比較的簡単に抜歯できますが、歯肉がぐずぐずしているので出血しやすいので、抜歯後止血処置が必要です。
スケーリングの時に、歯を○本抜きましたと言われたり、スケーリングのあとに血混じりのよだれが出たりするのは、大体はこういったことがあるからなのです。
歯根膿瘍の治療の抜歯
一方で、歯根の深い歯である第4前臼歯や、後臼歯、犬歯はぐらつきにくい歯ではあるものの、根の部分で感染をおこして歯根膿瘍になりやすい歯です。
頬が腫れや、口腔鼻腔瘻の根治治療として、根本が感染巣になっている歯は抜歯して洗浄しつつ抗生剤で治療する必要があります。
かなり歯根の吸収が進んでいる場合は比較的簡単に抜けますが、根が深かったり、歯根が複数あったりと簡単に抜けないことも多いです。
奥歯は専用のカッターで歯を分割したり、犬歯の場合は歯肉を切って歯槽骨から分離させる処置をする必要があります。
抜歯後も、洗浄したり抗生剤を入れたり、口の中に大きな穴が開くので必要に応じて歯肉を切ってその穴を塞ぐフラップ術という処置をすることになります。
この治療の抜歯は、スケーリングと一緒にする抜歯より口腔手術的な要素が強くなります。
ねこちゃんの歯肉炎の治療
歯周病の話の中でねこちゃんの歯肉炎の話が出てきたと思うのですが、ねこちゃんの歯肉炎の治療は基本は内科治療をすることが多いです。
治療には、主にステロイドを中心に消炎剤なども使うことがあります。
薬を使った治療は緩和、維持のためであって治らないため、最終的には治療として抜歯をすることもあります。
特に、薬を飲めない子や薬で痛みや食欲を管理しきれない子は抜歯を検討する形になることがありますが、実はこの治療はとても提案しにくい治療でもあります。
抜歯方法は主に2種類で前歯(切歯)と犬歯を残して臼歯を全部抜く全臼歯抜歯と歯を全て抜く全顎抜歯があります。
文字にすると簡単ですが、歯を抜く治療者も抜歯を受けるねこちゃんも歯のほとんどもしくは全てを抜歯されるので大変です。
侵襲が大きいので全臼歯抜歯をして、それでもダメなら全顎抜歯をすることも多いと思います。
ちょっと残酷なように思えると思うのですが、細菌の温床になる歯がなくなるとかなりの割合で歯肉炎が改善するので、重度歯肉炎の最終治療としての有効性を否定できない治療です。
最後に
実は、ねこちゃんの抜歯治療は抜爪手術とともに、個人的にあまり好んでしたくない治療の一つでした。
抜爪手術は倫理的な問題でしないという選択肢が持てるので良いのですが、抜歯は必要に迫られてせざるえないことがあるので、他に良い治療が出てきてほしいなと思っています。
次回は、歯周病予防について歯みがきのことなどをまとめようと思っています。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ