
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
G.Wをはさんで少し間があいてしまいましたが、今日は心雑音のシリーズの最後として、動物病院で心雑音の話をした時によく質問されることを取り上げてみたいと思っています。
参考になれば幸いです!
獣医さんが解説する心雑音に関するQ&A

心雑音の大きさと病気の重症度は比例する?
答えはNoです。
心雑音の大きさ=逆流の大きさではあるので、一見比例してそうに思うのですが実は必ずしもそういうわけでもありません。
わんちゃんで多い僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、心臓が収縮するときに弁がしっかり閉じずに左心室側から左心房側に血流が漏れてしまうことで雑音が起こります。
この逆流が大きいほうがが重症と思いがちですが、実はそうではありません。
実際には病態が悪化してくると左心房側の圧力が高くなり逆流を押し戻してしまい、雑音は小さくなってくるのです。
また、経過を追っている中で弁の閉じ具合が変わって逆流の向きが変わることで雑音が小さくなるということも起こります。
全く症状がなかったのに急に悪化することってある?
これはよくあります。
雑音があっても特に問題がなかったのに急に悪化したり、全く雑音がなかったのに急激に心不全になったりということがあります。
わんちゃんの場合、僧帽弁閉鎖不全症(MR)がとても多いです。
この病気は弁がしっかり閉じなくなることで起こります。
弁は腱索(けんさく)という紐状の組織で乳頭筋とつながっており、急性に心不全が起こる時は、実は急にこの腱索が断裂してしまったというケースが多いです。
その他にも雑音だけだと重症度がわからないので、知らないうちにかなり悪化していて、肺に水が出てしまって急激に具合が悪くなって気づいたということもよくあります。
ねこちゃんの隠れた心臓病をどうやって見つければいい?
一つ前のコラムで、ねこちゃんの心雑音は肥大型心筋症を見つけるヒントになるので必ずしも悪いというわけではないというお話をしていましたが、では心雑音がないねこちゃんの肥大型心筋症をどう見つければいいのでしょうか?
もちろん、定期的に健康診断でレントゲンや心臓のエコーをとるというチェックの方法もあると思いますが、やはり画像検査となると長時間預けないと難しいこともあり受けづらいということもあるかもしれません。
そういった場合は、血液検査で心臓のバイオマーカーを調べる検査が有効です。
1番よく使われのがNT-proBNPという値です。
NT-proBNPは、心筋に負荷がかかったときに放出されるホルモンで検出感度は大体80~90%と言われています。
健診の時やワクチンのついでなどに血液を取ってこの数値を調べてもらい、高ければレントゲンや心臓のエコーで診断をしていくというやり方が1番診断しやすいのではないかと思います。
最後に
他にも心臓関係はよく質問を受けますが、心雑音に関連して聞かれることの多いものを選んでみました。
わんちゃんの場合は、雑音があってもなかなか検査までいきつかないパターンも多く、ねこちゃんの場合は雑音が出ないことが多いので検査を勧めるきっかけがないことがよくあります。
心臓病は救急になりやすいので、より危険性を伝えていけたらなと思っています。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ