獣医さんのコラム(106)獣医さんが解説する日々のお手入れのポイント~前編~

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する日々のお手入れのポイント~前編~

 爪切り

 耳掃除

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

先週、お耳の話をコラムに書いたのですが、実は、耳掃除などの日々のお手入れがトラブルの発端になることもよくあります。

そこで、今日は獣医さん的にぜひ知っておいてほしい日々のお手入れの話をしてみたいと思います。

獣医さんが解説する日々のお手入れのポイント~前編~

爪切り

皆さんは爪切りをお家でされていますか?

実は、獣医師をしてきて爪切りが嫌ではない子に会ったことがないぐらい、動物さんにとっては足先を触られることも爪を切られることも嫌なことです。

ただ嫌だからと言ってほっておくと、

わんちゃんの場合は付け爪かのように長く伸びてしまい、歩くたびに床にぶつかってカツカツ音をたてるようになったり、折れてしまったりします。

ねこちゃんの場合は、若いうちは爪が鋭くなりすぎて抱っこするたびに服を貫通して人の皮膚を傷つけてしまいますし、お年を取ると巻き爪になって肉球に刺さってしまうこともあるので、やっぱり爪切りは避けられないケアです。

そこで獣医さんがしているコツを参考に爪切りをぜひ実践していただけたらと思います。

まずは、わんちゃんのコツは、

①爪が透明のわんちゃんでは根本のピンク色のところが血管なのでそれより手前を切るというのはもちろんなのですが、血管が近くなると痛みの原因になるので根本から余裕をもつぐらいの範囲で切ってください。

②爪切りはそもそも嫌なことなので、無理にしているとさせてくれなくなることも多いです。

そこで、おやつを与えながら嫌なことと嬉しいことを組み合わせるようにしましょう。

③爪が黒くて血管がわからない子の場合

血管の位置はその子によって違うので、爪に対してまっすぐ切るのではなくて斜めにカットしていくと血管を避けやすいです。

ちなみに⒈上側が根本に近くなるよう斜めにカットして、次に⒉初めのカットと対角になるように下側が根本に近くになるように斜めにカットするという動作を繰り返して徐々に短くしていってください。

1.で少し爪の芯のような部分が見えてきたり、血がにじんくるようであれば血管に近いのでストップするようにすると血管近くまでしっかり切りやすく、大出血を避けることができます。

④出血させてしまったら

爪からの出血は派手に見えるのでびっくりすると思います。

ティッシュなどでしっかり5分以上圧迫止血をしてもらうか、クイックストップという爪用の止血剤を用意しておくのもひとつです。

次に、ねこちゃんのコツは、

①仰向けを嫌がらない子であれば、座った状態で膝の上に仰向けに寝かせて、あやしながら爪切りをすると切りやすいです。

ねこちゃんは爪が隠れているので指の先をつまんでしっかり爪が出てきた状態で爪切りをしてくださいね。

②爪切りが嫌なねこちゃんであればバスタオルで包んだり、洗濯ネットを使うというのも一つのアイディアです。

③巻き爪になってしまっている場合は、爪切りが入らないことがあるので、ニッパーで大まかに切って、その後で爪切りで整えてあげるといいです。

耳掃除

耳掃除もよく質問されるケアのひとつかなと思います。

綿棒を使っている方もいらっしゃるかもしれませんが、綿棒は避けてもらいたいです。

そもそもわんちゃんの耳道は垂直耳道⇨水平耳道⇨鼓膜と長いです。

綿棒を多少入れても鼓膜を損傷することはほぼないのですが、奥が深いのでうっかり耳道壁を擦ってしまうことがよくあります。

そうすると耳道にに傷がつき、炎症が起こります。

そして、耳の中はジメジメして環境が良くないので、炎症が起こると常在細菌などが増殖するきっかけをつくってしまうことがあります。(特に垂れ耳さんなどは要注意です。)

加えて、正常な耳であれば耳腔は表面の方に上がってくるので、耳の入り口を湿らせたコットンなどで優しく拭いてあげるだけでお手入れは事足りるということもあるので綿棒でのお掃除は避けてくださいね。

耳を拭くだけでは臭いがしたり、耳垢がいっぱい出てくるという場合は、外耳炎になっている可能性が高いので、お手入れを頑張るというよりは病院で一度診てもらった方がいいと思います。

その点も覚えておいてください。

最後に

元々は1つのコラムにするつもりが、書いているとどうしても長くなってしまったので、

前編、後編に分けておおくりしようと思っています。

明日は、後編としてブラッシングの話や自宅シャンプーの注意点をおおくりする予定ですのでお楽しみに!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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