
もくじ
1. ごあいさつ
・催吐処置
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
病院に行ったら、思ってもみない治療や検査が進んでいって不安になることってないでしょうか?
そんなときに、前知識があると少しが不安が解消するかもしれません。
今日は、特に焦って病院に行くであろう異物の誤食のときの治療の流れについて説明してみようと思います。
異物を誤食した!そんなときの治療って?

受診前にしておくこと
誤食した!と気づいて、焦って病院へということもよくあると思います。
ただ、焦っているときこそしてほしいことが実はあります。
①誤食したものの残りの部分を保存しておき、持ってきてもらう
どんなものをどれだけ食べたのかを把握するのに必要です。
異物の大きさによって治療の選択がかわることがあります。
②パッケージがあるとさらによし(商品名を調べて素材などを検索したりすることもあります)
製品名がわかれば、インターネット検索などでなくなった部分の大きさを推定できたり、素材についた調べられたりもするので、何かあれば持ってきてもらったほうがいいです。
③なくなった部分が家具の下など部屋に落ちていないかをチェックする
これも注意なのですが、焦るがあまり誤食してしまったと思い込んでしまうこともよくあります。
必ず、お家の中に落ちていないかをしっかり確認しましょう。
催吐処置
いよいよ病院に到着すると、はじめに催吐処置をすることが多いです。
昔は、オキシドールなどを飲ませたりという処置をしていましたが、今は点滴用の管を血管に設置して、その管からトランサミンという止血剤を血管の中に注射して吐かせることが多いです。
ちなみに、1回では出て来ないことも多いので、何回か投与して吐かせることも多いです。
ただし、大きい異物だと胃の入り口を通過できず、嘔吐は起こせたとしても異物自体は出てこないこともしばしばです。
また、ねこちゃんは緊張すると薬ではなかなか吐いてくれないこともよくあります。
吐けない場合は…
催吐処置をしても出てこない、もしくは吐かないようだと、次に内視鏡を胃のなかの入れます。
人のように無麻酔や部分麻酔で内視鏡をすることは難しいので、必ず全身麻酔をかけることになります。
内視鏡を入れることで、異物があるかどうかを画面越しに肉眼で確認できますし、異物除去用の器具で摘出をすることもできます。
ただし、この異物除去のための器具にもキャッチできる大きさに限度があるので、大きな異物が胃のなかにある場合は摘出できないことがあります。
あとは、糸などの誤食で一部は胃のなかにあるものの、腸の方にも糸が続いている場合などは摘出が難しいです。
ちなみに、内視鏡で摘出できた場合は大抵は日帰りできます。
それでもダメなら…
もし、内視鏡でも異物が取り出せない場合どうなるでしょうか?
答えは、手術でお腹を開けて、胃から直接異物を取り出すことになります。
いわゆる胃切開とい手術になるのですが、消化器を切っているのでもちろん何日か入院になります。
催吐→内視鏡→手術だと時間がかかるので、明らかに催吐や内視鏡では難しそうな異物の場合ははじめから手術になることもあります。
また、胃だけではなく腸にまで下ってしまっている紐状異物の場合は胃だけではなく、腸も切開することになります。(ねこちゃんで紐の誤食が多いです)
最後に
金属だとレントゲンに映るので胃のなかにあることを確認しやすいですが、絶妙に小さいものだと超音波検査でも胃の中に本当に入っているかを判断することが難しいときがあります。
なので、お家の中に絶対ないという確認をしておいてもらえるととても助かります。
獣医さんなら誰しも内視鏡を入れたけど異物はなかったというパターンを実は経験していると思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ