
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
7月に入って、お盆休みまでもう少し!
長期休みになると、お仕事がお休みの間にわんちゃんやねこちゃんをお迎えされる方が増えます。
お迎えを考えている方は、今まさにペットショップさんやブリーダーさんを調べているところかもしれませんね。
そんな方の参考になれば幸いです。
新しくお迎えするときはここに注意!

お迎えしてすぐは
子犬さん、子猫さんをお迎えするのは、長期のお休みなど時間の余裕があるときにという方も多いかと思いますが、思っている以上に環境の変化で落ち着かない場合も実はあります。
臨機応変に対応できる体制と心構えを持っておけるといいと思うので、よく起こることをまとめてみました。
特に環境の変化でよく起こることは
・感染症の発症
代表的なものは犬カゼ(ケンネルコフ)や猫カゼの症状です。
犬カゼは、ペットショップさんやブリーダーさんで飛沫感染し、潜伏もしくは軽く感染していたものが環境の変化によって悪化するケースがよくあります。
主に、夜間ひどくなる咳の症状が出ることが多く、特徴は長引きやすいということです。
ある程度良くなるのに1ヶ月程度かかることもあります。
猫カゼは結膜炎や鼻炎の症状が出ることが多いです。
こちらもワクチンなども打ってもらっているので重症化することは少ないですが、環境の変化で発症することがあります。
この病気に関しては、ペットショップでかかってきた場合もありますし、親からすでにもらっていて潜伏感染している場合もあります。(猫カゼを起こすヘルペスウイルスは一度かかると潜伏していて、免疫力が落ちると発症します)
・寄生虫による軟便、下痢
回虫などの大きい寄生虫は駆除されていることが多いですが、原虫という顕微鏡レベルの小さな寄生虫が感染していることも比較的多いです。
環境の変化で今までかろうじて便の形が崩れずいたのが顕在化することもありますし、治療を受けていて症状は落ち着いていたものの駆虫しきれず、再増殖して症状を出すといったこともあります。
お迎えした後から軟便〜下痢になっている場合は寄生虫を疑いましょう。
ちなみに、原虫も種類によって駆除に時間がかかることや日本にある薬では駆除できない場合があります。(その場合は輸入薬を使用して駆虫します)
・食べムラ
環境の変化で食べムラが出ることもしばしばあります。
環境的なムラであればだんだんと解消することが多いです。
一方、ペットショップさんやブリーダーさんでは集団生活なので、つられて食べていた子がお家に迎えた途端食べなくなるということもよく起こります。
元々、食事に興味がなくて食べムラが出る子は、食べないという状況がずっと続くので迎えられてすぐに悩まれることがよくあります。(だんだんその子のペースが掴めると食べムラがあるながらも落とし所が見つかることが多いです)
環境について
環境についてもある程度整備しておいたり、その子の性格に合わせてかえる準備をしておく必要があります。
・気温
今の時期であれば、子犬さん、子猫さんは暑さに対しても抵抗力が弱いので24時間の空調管理が必要です。
冬も同様に寒さへの対策が必要です。
小さい頃はケージに入ってもらうことも多いと思うので、エアコンとケージの位置をあらかじめシュミレーションしておくと良いと思います。
・ケージの整備
小さい子から目を離す時間があるのは事故のもとなので、はじめはケージに入っておいてもらって見れるときだけケージの外に出すようにしましょう。
ケージを設置する前提でお部屋の準備してくださいね。
・ごはんの時間
中型犬〜大型犬は小さくても1日2回のごはんで問題ないことが多いのですが、小さい子、特に超小型犬をお迎えされる時は、空腹時間があかないように1日3〜4回の給仕が必要になります。
お昼間、お仕事があって朝と深夜しかごはんをあげられないといったことがないようにあらかじめスケジュールを考えておいてくださいね。
お迎えした直後は、ふやかさないと食べれなかったりということもあるのでお食事に少し手間がかかると思っておきましょう。
・誤食防止の対策
ケージやお部屋の中のおもちゃや床のクッション材、時には壁紙やプラスチックを齧って食べてしまう子もわりと多いです。
ねこちゃんであれば、紐系のものは危ないです。
後は、観葉植物やお花など毒性があるものも多いので、口に入らないようにお部屋のレイアウトや収納を見直せるようにしましょう。
どうしても、細々としたものを管理できなくて誤食で頻繁に病院に来られることもあるので注意してくださいね。
特に、小さい子供さんがいらっしゃる場合は要注意です。
先天性の注意点
ペットショップさんで、よく潜在精巣(陰睾)や鼠径ヘルニア、臍ヘルニアと注意書きがあることがあります。
説明はされると思いますが、潜在精巣の場合は皮膚の下に精巣があるのか、お腹の中にあるのかなどを確認しておきましょう。
潜在精巣の場合は、必ず早めの去勢手術が勧められますし、お腹の中に精巣がある場合は普通の去勢手術と違って開腹手術になります。
鼠径ヘルニア、臍ヘルニアも同様です。
ヘルニアというのは、本来は閉じているはずの穴が開いてしまっていて、お腹の中の脂肪や酷くなると臓器が皮膚の下に飛び出す病気のことです。
ヘルニアは軽度の子も多く、少し脂肪が出ているというだけのこともありますし、かなり穴が大きくてすぐに手術が必要な場合や、お年をとってヘルニアが悪化する場合もあるのでしっかり程度を確認しましょう。
ちなみに、先天疾患の治療は保険が効かないことが多いのでご注意ください。
最後に
獣医さん視点なので、少し病気のことを多く書いてしまいましたが、
お迎えした直後から体調が安定しなくて病院通いが続くということもあるので、その子の状態や治療歴はしっかり確認しておいてもらった方がいいです。
出会いは一期一会なので、治療歴がある子をお迎えしたい!という場合もあると思います。
その場合は、お迎え後に病院通いの可能性も考慮しておいていただければ思います。
病歴があって…と悩まれている場合は、Talkvetsのご相談いただけるとアドバイスできると思いますので
お気軽にどうぞ♪
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ