
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日からコラムを再開します!
営業もお休みしてしまっていたので、ご迷惑をおかけして申し訳ないです。
お休み明けの本日は遺伝病の話をしたいと思います。
実は遺伝的に出る病気はたくさんあるのですが、その中で命にかかわる病気を取り上げてみたいと思います。
獣医さんが解説する遺伝的に起こる本当に怖い病気3選

肥大型心筋症(HCM)
肥大型心筋症(HCM)はねこちゃんでとても有名な病気です。
以前も心雑音の話の中にも出てきましたが、一説によると有病率が11~16%もあるものの、心雑音が出にくいために病気に気づかれないことがかなり多いという特徴があります。
病院で見ていると進行性に関しても遺伝的な要素が絡んでいるようで、まだ若いのにどんどん悪化していく子もいれば、あまり変化しない子もいます。
悪化傾向が強いねこちゃんは、なんとか薬で心臓の機能を補っても最終的には心臓が原因で亡くなってしまうことが多いです。
さらに怖いのが、あまり進行性が強くないなと思っているねこちゃんでも、心筋症から心臓の中に血栓ができて、それが流れてしまうことで急に後足の血栓症を起こすことがあることです。
症状がない心筋症のねこちゃんでも11%程度は血栓症を発症するというデータがあります。
そして、この血栓症はかなり痛みがあって悶え苦しむぐらい辛い病気でもあり、両足に発症してしまうと死亡率が60~70%に達する致命的な病気でもあります。
変性性脊髄症(DM)
ジャーマンシェパード、ボクサーなどの大型犬でも発生することで知られていましたが、日本では圧倒的にコーギーでの発症が多い病気です。
両後肢の麻痺が初期症状で、ヘルニアかな?と思っていたら実は違ったというケースもよくあります。
ヘルニアと違って、この病気で怖いのは、進行性があり徐々に麻痺が前の方に進んでいき、最終的に呼吸に関連している部分も麻痺して呼吸不全で命をおとすことです。
治療方法も今のところありません。
平均をとると発症年齢は10歳前後で、約2年で四肢の麻痺、約3年で呼吸障害がでることがわかっています。
起源不明髄膜脳炎(MUO)
以前は壊死性髄膜脳炎(NME)、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)と言われていたものが最近ではまとめて起源不明髄膜脳炎(MUO)と呼ばれています。
壊死性髄膜脳炎(NME)は、特定の犬種で多い病気でパグ、フレンチブルドッグ、ヨーキー、チワワ、マルチーズなどが知られています。
肉芽腫性髄膜脳炎(GME)は犬種というより小型犬で多い病気です。
かなり若い年齢で発症することも多く、中央値は2歳と言われています。
比較的若いわんちゃんが急にてんかん発作起こしはじめて、MRIを撮ることで診断されるというパターンが多いです。
ステロイドや免疫抑制剤で治療しますが、ある程度コントロールが効くこともあれば劇症型でコントロールできないまま亡くなってしまうこともあります。
特に、パグやフレンチブルドッグで症状がきついこと多いです。
若くて健康なわんちゃんで急に発症することが多いので、腫瘍など命に関わる病気はいろいろありますが、発作がいつ起こるかわからないという症状も含め、飼い主さんにとってもつらい病気の一つだと思います。
最後に
変性性脊髄症などは遺伝子検査などもできるので、昔に比べて発症する子が少なくなってきているかなという印象もあります。
逆に、ねこちゃんの心筋症などは遺伝の範囲が広すぎてなかなか減っていかない病気かなと思いますが、以前に比べると早期に見つけられることが増えてきました。
怖い病気ですが、時代とともに徐々に対抗策もすすんでいることは間違いないとここで付け加えておきたいと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ