もくじ
1. ごあいさつ
3. 最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
最近、TVを見ていて母と父が「抗生剤ってウイルスには効かないんだ!」と言っているのを聞いて、おっ!?と思ったので、今回はそのあたりのお話をテーマにしてみようかと思います笑
きっかけになったのは新型コロナウイルスについてのTVだったのですが、ちょっとテーマを発展させて、動物病院での抗生剤の話やわんちゃんとねこちゃんの細菌とウイルスの病気の話をおおくりしようと思います。
動物病院って何にでも抗生剤出してない?
なんとなく、どんな病気でも抗生剤が効くというイメージはないでしょうか?
動物病院だと、具合が悪い→抗生剤を処方してもらうというイメージを持たれている方が少なからずいらっしゃるかなと思いますし、よく処方されていることも間違いないかもしれないです。
実は、抗生剤は細菌に対するお薬で、細菌をやっつけて細菌性の感染症を治すことはできますが、ウイルスをやっつけたり他の病気を治す力はありません。
私も、子供の頃に風邪で病院に行くと、毎回オレンジ色のシロップを出されて飲んでいた記憶があるのですが、これは抗生剤を処方されていたのだと思います。
風邪=ウイルス性なので、抗生剤が効かないのですが、今思うと、子どもの場合は、鼻を噛めずに鼻から耳に炎症が波及して細菌性の中耳炎になったりもするので予防的な意味とかで抗生剤を出されていたのかなと思います。
今は、耐性菌とかの問題もあって明らかに中耳炎の症状がなければ抗生剤は処方されないことが多いと思いますが、獣医領域だと、まだ疑わしきは…という考え方で念の為の抗生剤が処方されることもあるというのが現実的なところです。
患者さんが直接喋れないので、どうしても可能性を含めて広範囲に可能性も含めて対処したいと思いがちなのかなと思います。
特に、細菌感染は急激に悪化するので危険な可能性を押さえておきたいということも関係していると思うのですが、使い方を変えていかないといけないというのが今の共通認識です。
最後に
獣医の世界でも、段々と抗生剤の使い方を適材適所で行いましょうという動きになってきているのですが、
獣医さんであれば誰しも、そういう流れで抗生剤をあえて処方しなかったら、実は細菌が隠れていて…という経験があるからか、なかなか予防的な抗生剤というのがなくならないのかなと思います。
人間のように、クリニック⇨総合病院⇨高次病院というシステムがなく、自分の病院で全てを解決しないといけないという事情も関係しているのかなと推測しています。
こういう理想はあるけど、なかなか理想通りにいかないというのももどかしいですが、我々の業界も鋭意進化中です!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。
執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ