
もくじ
1. ごあいさつ
2.獣医さんが解説するわんにゃんのホルモンの病気〜甲状腺編〜
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
昨日は副腎のホルモンの病気を取り上げましたが、今日は甲状腺についてをまとめたいと思います。
人間も甲状腺の病気はよく聞きますが、わんちゃんねこちゃんでもとても多いです。
特に、ねこちゃんのホルモン病といえば甲状腺なので、ぜひ知っておいていただればと思います。
獣医さんが解説するわんにゃんのホルモンの病気〜甲状腺編〜

甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症といえば、わんちゃんの病気として有名な疾患です。
・なりやすい犬種は?
大型犬で多いと言われています。
全体的な飼育頭数も関係しているのか、診察している上ではビーグル、T.プードル、柴犬といった犬種が多いです。
・甲状腺機能低下症は治る?
甲状腺が萎縮してしまって、ホルモンが出なくなるので治ることはないです。
生涯、ホルモンの補充療法が必要です。

・症状は?
無気力、脱毛、体重増加といった症状が出やすいです。
甲状腺機能が低下すると脂質代謝異常が起こります。
脂質代謝異常は表面的な症状としてはわかりづらいですが、脂肪酸とCaが腸内で結合し、その結果尿中にシュウ酸の排出が増えると言われおり、甲状腺機能低下症とともに尿中にシュウ酸カルシウム結晶が出たり、結石化したりする場合があります。
・治療は?
甲状腺ホルモンを補充する薬を飲んでもらって治療することが多いです。
レボチロキシンナトリウムという薬を使うことが多いです。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症といえば、ねこちゃんの病気として有名な疾患です。
・甲状腺機能亢進症は治りますか?
甲状腺の過形成や腫瘍化によって、甲状腺自体が大きくなっている状態なので自然に治ることはありません。

・何歳ぐらいで発症するの?
10歳以上のねこちゃんでとても多い病気です。
・どんな症状が出るの?
よく食べるのに痩せてくる、過活動(高齢なのに元気)、多飲多尿、夜泣きなどが多いです。
目に見える症状だと、お年寄りなのに元気とポジティブにとらえられがちですが、甲状腺ホルモンによって無理やり働かせすぎてしまっている状態なので、体全体に負荷がかかっています。
ほっておくと、最終的に枯渇状態になって元気食欲がなくなります。
・治療は?
甲状腺ホルモンの生成をブロックする薬を飲むのが一般的です。
意外と苦味が少ないのか薬が苦手なねこちゃんでもチュールなどに混ぜて飲んでくれることが多いです。
その他に、y/dという甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素を制限したお食事を与えて甲状腺ホルモンの生成量を減らすという方法もあります。
外科的な摘出もできますが、その後の管理の問題があるので治療方法としては少数です。
・腎臓との関係
甲状腺のホルモンが過剰に出ることで腎血流量が増えるので、甲状腺機能低下症を治療すると腎臓の数値が上昇することがよくあります。
この場合は、薬の量を調整しながら治療していくことになります。
最後に
我が家の老猫もずっと甲状腺の薬を飲んでいましたが、元気に23歳まで生きてくれました。
甲状腺の病気自体は早期発見早期治療で予後はいい病気です。
思い当たる節のある方はぜひ相談してくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ