獣医さんのコラム(155)獣医さんが解説する避妊手術をした方が良いタイミングって?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する避妊手術をした方が良いタイミングって?

  子供のころの避妊手術をするタイミング

  次に手術を考えるべき場合

  ・絶対に手術が必要になる状態

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

動物病院では小さい頃に避妊手術をすることを勧められると思います。

ただ、出産を考えていたり、まだ小さいのに手術を受けさせるのは抵抗がある…など色々な理由で手術を受けない方もいらっしゃいます。

お年をある程度とった時に避妊手術をした方がいいのかな…?という相談を受けることもよくあるので、本日は避妊手術を考えるタイミングについてを解説したいと思います。

獣医さんが解説する避妊手術をした方が良いタイミングって?

子供のころの避妊手術をするタイミング

病気の予防のために避妊手術を考えてくださいねと動物病院ではよくお伝えします。

早い子だと、ペットショップさんやブリーダーさんからお迎えされて生後約3ヶ月ぐらいのときから病院にやってくるので、ワクチンなどの予防をするタイミングで避妊手術のことを説明します。

その時にお伝えするのが、避妊手術を考えている場合はできれば初回発情前に手術をした方が良いですということです。

これは、わんちゃんで発生がとても多い子宮蓄膿症を防ぐという意味もありますが、発情を迎える前に手術をすることで、わんちゃんでは乳腺腫瘍の発生率が0.5%以下に低下するというデータがあるからです。

ねこちゃんでも6ヶ月未満で避妊手術をすると乳腺癌の発生確率が91%低下することがわかっています。

乳腺腫瘍はメスのわんちゃんでは、腫瘍で半分は乳腺腫瘍と言われるほど発生の多い腫瘍でもあり、メスのねこちゃんでは約90%が悪性という厄介な腫瘍でもあります。

乳腺腫瘍の発生を避妊手術の時期次第でコントロールできるのは生涯を考える上でとても大きなことなので、獣医さんとしてはいずれ避妊手術をするのであれば初回発情前にとお話ししていることが多いのです。

次に手術を考えるべき場合

手術するなら初回発情前に手術した方がいいというのは間違いないのですが、とはいえタイミングを逃すこともよくあると思います。

その場合は、初回発情後で2回目の発情がくる前に手術を考えてもらうと、わんちゃんでは初回発情前ほどの乳腺腫瘍の発生率の低下にはなりませんが、8%程度の発生率に抑えられるというデータがありますので、早めに手術できる場合がこの時期に手術を考えてもらえれたらと思います。

さらに、お年をとった時にこのまま手術をしないでも大丈夫なのかな…と不安になる方もいらっしゃると思います。

そういう場合に手術をした方がいいという目安となるのが、子宮や卵巣の状態です。

子宮は発情期以外は超音波検査では確認できないのが通常です。

ただ健康診断などをしていると、発情期以外でも子宮が見えるようになることがあります。

そういった子宮は子宮水腫や子宮内膜症、腺腫があったりと異常が見つかることが多いです。

また子宮の異常よりは頻度は低いですが、卵巣に異常が見つかることもあります。

こういった異常は直接的に症状を出すことはあまりないですが、異常が伴うと子宮蓄膿症などの急性の病気への発生につながる可能性があります。

見つかるのは中年以降が多いので、さらにお年をとって子宮蓄膿症などを発症して体がしんどい状態で手術をしないといけない状況になるより、計画的に身体の調子が整っている時に手術をした方が安全です。

なので、何か子宮に異常がでた時点が避妊手術を再考するタイミングなのかなと思っています。

絶対に手術が必要になる状態

若齢でも高齢でも、手術を考えないといけない状況になる場合もあります。

典型的なものは、子宮蓄膿症という子宮の中に細菌が入って膿がたまる病気になった時です。

もちろん、抗生剤などでちらせる場合もありますが、手術が第一選択となることが多いです。

また、あまり知られていないかもしれませんが糖尿病のコントロールのために避妊手術をすることもあります。

卵巣からでる黄体ホルモンの影響でインスリンの感受性が下がり、インスリンを1日2回打ってもらっても血糖のコントロールがうまくできない子がいるからです。

また、糖尿病などの持病があると感染しやすくなるため、子宮蓄膿症などのリスクといった面もあります。

最後に

以前、避妊手術の話をコラムにしたことがありましたが、最近、避妊手術や去勢手術が必要な疾患の相談を立て続けに受けたこともあって改めて記事にしてみました!

手術はリスクのあることなので悩まれている方の参考になれば幸いです。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

当サービスのご利用にあたって

オンライン相談では、

診断をつけたり、

お薬を処方することは

できません。

動物たちのより良い生活や

より良い医療のための

サービスであることを

ご理解ください。

サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor
サービスのご案内 service
獣医師紹介 doctor