獣医さんのコラム(171)獣医さんが解説する老猫さんのその元気さ、異常かも?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する老猫さんのその元気さ、異常かも?

  元気なシニア猫って理想ですよね

  それって本当の元気?

  ・元気すぎる病気

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

10月も後半になってくると朝晩寒くなってきましたね。

冬に向かうこの季節、寒くなってくるとシニアの動物さんがいるご家庭だと心配がつきませんよね。

そんな中でも、うちの子は歳をとっても元気なのでといった言葉を聞くことがあります。

実はこのフレーズ、獣医さんが聞くともしかして…と思う言葉なんです。

今日はそんな話をしたいと思います。

獣医さんが解説する老猫さんのその元気さ、異常かも?

元気なシニア猫って理想ですよね

病院でよく聞くのが、「歳をとっても元気でいてほしい」という言葉です。

動物さんは、4倍早く歳をとっていくので、気づいたらもうシニア!ということもよくあります。

そんな動物さんと暮らしていて、みんな願ってしまうのが、病気をせずに元気でいてほしいということですよね。

とくに、わんちゃんは中年をすぎる頃になると白髪も目立ってきますが、意外とねこちゃんは毛並みが変わらないこともあって、若見えする子も多いです。

見た目が若くて、元気そうにしているとまだまだ元気!と思うこともよくあると思います。

ところが、実はそれは人の勘違いということも…

それって本当の元気?

冒頭で書いた通り、獣医さんにとって、「うちの子、お年寄りだけど元気で、」という言葉はキーフレーズです。

猫ちゃんは寝ている時間の長い生き物ですが、子猫や若猫のときは寝てる時もあるけど起きているときは元気に活動します。

でもお年をとると、いつも寝ているなと感じることが多くなり、起きているときでも若い頃のような活動性はなくなることが多いです。

なのに、一緒に暮らしている飼い主さんが元気と感じるということは…と思ってしまいます。

元気という言葉は幅広く使われるので、何をさして元気と言っているかが問題なのですが、

もしお家の老猫さんが、

・まだまだ走り回る

・ごはんをガツガツ食べる

・ニャーニャー主張している

・寝ていることもあるけど、よく活動している

のであれば、もしかしたらと思ってください。

実はねこちゃんには、ホルモンの影響で活動性が上がる病気があります。

それが、甲状腺機能亢進症です。

そう、前回のコラムも読んでいただいているとピンとくるかもしれませんが、

体重が増えて、無気力になるわんちゃんの甲状腺機能低下症と真反対の病気がねこちゃんでは非常に多いのです。

元気すぎる病気

甲状腺は喉のところにあるホルモンをつくっている臓器で、この甲状腺ホルモンは身体を活性化する方向に作用します。

そのため、甲状腺からホルモンが出過ぎることで、

活動性はもちろんのこと、心臓も肝臓も働かせすぎることが問題になってきます。

心臓に負荷をかけすぎて、頻脈や高血圧、心筋が厚くなることで二次的な肥大型心筋症にもなります。

肝臓は働かせすぎることで低酸素に陥り、肝数値が上がってきます。

そして、身体全体でいうと食欲旺盛なのにどんどん痩せてくるということが起こります。

ちなみに、多少なら元気な方がいいんじゃないと思われがちなのですが、

甲状腺機能亢進症をほっておくと、最終的には枯渇状態になり、食欲がなくなり病院に運ばれてくることになります。

お家の老猫ちゃんに心当たりがあるのであれば、ぜひ甲状腺ホルモンのチェックを受けてくださいね!

最後に

甲状腺機能亢進症についても、以前に書いたわんにゃんのホルモンの病気~甲状腺編〜というコラムで取り上げているので、ぜひそちらもご覧くださいね。

腎臓との悩ましい関係などについても書いています!

いくら元気でいて欲しくても、病的な元気さは身体を酷使するので早めに見つけてあげましょう。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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