
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
急に寒くなりましたね。
季節の変わり目は体調を崩しやすくなるのは人間も動物さんも一緒です。
本日は、急な体調不良のときに頼るかもしれない救急動物病院について深掘りしていきたいと思います。
意外と人間の救急病院とは違うので注意してくださいね。
獣医さんが解説する救急病院を受診するときは

救急病院ってどういう病院?
人と同じように動物さんにも救急動物病院というものが存在します。
夜間に何かあったときに行く病院というのは大方共通しているのですが、動物医療ならではの特殊な事情があったりします。
まずはそんな話をしておきたいと思います。
人の夜間救急との違い、それはまず第一に数です。
都市部、特に東京近郊は救急動物病院が充実しているのですが、一歩郊外に行くと事情が全く異なっていて、
県内に一つも救急病院がないということもよくあります。
また、病院の形態もいろいろで、獣医師会が主催している病院もあれば、民間施設の場合もあります。
あとは、複数の病院が持ち回りで日にちを決めて夜間対応しているような場合もあります。
総じて、一部の都市部を除いて、人間と同じように夜間に開いている病院がないというのが現状です。
救急病院の強み
さて、救急病院が行ける距離にあるという場合でも、遠くの夜間救急に行くべきか、近くの病院に一か八か電話をかけてまわるべきか、それとも朝まで待つべきか悩むことも結構あるんじゃないかと思います。
細かくこの場合はというのは置いておいて、一つの目安として救急病院の強みをまとめてみようと思います。
どうしようと悩んだ時の判断基準にしてもらえればと幸いです。
①緊急薬が揃っている
緊急疾患の中には実は時間勝負の病気もあったりします。
例えば、血栓症の時などはなるべく早くに受診し、教科書的には6~8時間以内(なるべく早く)に血栓溶解剤の投与できないと血栓溶解という治療の選択肢が選べないということがあります。
ただし、血栓溶解のために使われるt-PA製剤は高価で使用頻度もそこまで高くないため、一般の病院には在庫していないというケースもあるかもしれません。
救急病院の場合はそういった疾患でも対応できるよう備えている可能性がより高いと言えると思います。
②設備や体制が整っている
緊急疾患の中にはと薬のときと同様に、なるべく早く手術をしないと助からない病気もあります。
例えば、大型犬の胃捻転などは朝まで待っていると手術をすると予後が良くないことが多々あります。
そういったケースだと、必然的に夜間の手術体制が整ったところを受診できるか否かで生死がわかれるということもあります。
運よくかかりつけの先生に夜間に診てもらえたとしても、夜間に大型犬を手術できる体制を整えられることは滅多にないので、そういった意味では救急に強みがあると思います。
③専門性がある
救急病院は、急患に特化した病院なので緊急疾患が集まります。
毎日緊急症例を診ているということはその分野に強いということでもあります。
具合が悪いその時点で診断がつくかどうかが分かれ道ということもあるので、そういった意味で緊急疾患への瞬発力は一日の長があるかもしれません。
受診する時の注意点
救急疾患の強みをお話ししたところで、一緒に知っておいてもらわないといけないこともあります。
動物さんの夜間救急は人の救急とは違う特殊な事情があると書きましたが、それを緊急時にいきなり調べて知っておくというのはなかなかできないと思うのでこの機会に読んでもらえたらと思います。
命が1番大事ですが、そんな中でもえーっとならないように注意点も知っておいてもらえたらと思います。
①費用が高い
地域や病院にもよりますが、基本的に費用は高いというのは知っておいてもらえたらと思います。
診察料10000円というのもよくありますし、救急に行って診察だけで済むことはまずないので、大体3万円〜と思っておいた方がいいと思います。(検査内容によってはそれ以上!)
お会計のときにびっくりしないように注意してください!
②朝までやっているわけではありません
人の病院は朝まで診察してくれると思います。
救急動物病院もそうだと思って、行くかどうか悩んでいたら…受付時間が終わっていたということも!
一部の病院を除くと、ほとんどの病院は1時、3時もしくは5時くらいに閉まってしまうところが多いです。
さらに、受付時間をそれより前に設定しているところも多いので診察時間には十分ご注意ください!
③事前TELが必要
救急病院のほとんどは、来院前に電話が必要なところが多いです。
これは、重症の子の来院するタイミングを把握して、準備をするためということもありますし、病院の規模によってはすでに手術中で対応できないということを避けるためでもあります。
せっかく救急まで行ったのに…ということを防ぐためにも必ず電話してから行ってくださいね。
(事前連絡必須と書かれていなくても電話しておいた方が良いと思います。)
④クレジットカードや身分証が必要なことあり
これは病院によるところも多いですが、夜間のためクレジットカード決済のみという病院もたまにあるので注意してください。(クレジットカードが使えないという場合もあると思います。)
あとは、身分証の提示を求められたりということもあるので、慌てていても身分証をお家に忘れてこないようにご注意くださいね。
最後に
この間、ご相談をいただいたときに救急病院の話になって、ふと意外と救急病院について知らないことも多いのかなと思って、今回は救急病院のことをまとめてみました。
救急に行ったほうがいい疾患については以前にも書いたような気もしますが、明日は改めて何個か絞って書かせてもらえたらと思っています。
明日のコラムもぜひ読んでくださいね!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ