獣医さんのコラム(190)獣医さんが解説する人の胎児に影響する?トキソプラズマ症って?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する人の胎児に影響する?トキソプラズマ症って?

  トキソプラズマ症が胎児に与える影響

  ねこちゃんとトキソプラズマ症

  ・どう対策すべき?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

たまに猫を飼われている飼い主さんからこの病気について質問される機会があるのですが、思ったより知名度がないかなとも思います。

知名度の割に、もしかかってしまったらかなり重大な疾患を起こしてしまうのでぜひこの機会に知っていただければと思ってコラムのテーマに選んでみました。

獣医さんが解説する人の胎児に影響する?トキソプラズマ症って?

トキソプラズマ症が胎児に与える影響

トキソプラズマ症の怖いところは、色々な動物がかかる病気なのに基本的に大人や大人の動物がかかってもほぼ無症状、もしくは軽い風邪の症状しか出ないことです。

それにも関わらず、もし感染したのが妊娠中の女性だった場合、気付かぬうちに胎児に伝播して時期によっては流産の原因となったり、重度の脳障害を起こすこともある怖い病気です。

そして、妊娠の時期が後になればなるほど胎児に及ぼす影響は軽くなるものの、伝播率はどんどん高くなっていきます。

今回は、妊娠初期、中期、後期にわけて胎児への影響をまとめてみました。

①妊娠初期(妊娠1~3ヶ月)

胎児への伝播率は約10~15%程度(論文によって異なる)

ただし伝播すると、流産、死産、重度脳障害、眼の異常(網膜・脈絡膜炎)、水頭症を引き起こします。

② 妊娠中期(妊娠4~6ヶ月)

胎児への伝播率は約25~30%

伝播すると、網膜・脈絡膜炎、軽度〜中等度の神経発達異常、出生後に視力障害の進行などを起こします。

③妊娠後期(妊娠7~9ヶ月)

胎児への伝播率は約60~80%

無症状で生まれるが出生後に眼に疾患が出る可能性があります。

こうやって書いてみると、かなり怖い病気だとわかります。

後期に起こす症状でさえ、赤ちゃんの眼に何か起こったらと思うとしんどいものがあります。

そしてこのトキソプラズマという病気には、もう1つ特徴があって、様々な動物が感染しますが、感染源になるのは主に猫からなのです。

(人-人や鳥-人では基本感染しませんが、感染している動物の生肉を食べてしまうと感染する可能性がありますので注意!)

猫は人にとっては身近な伴侶動物なので、特に知っておく必要があると思います。

ねこちゃんとトキソプラズマ症

猫が感染源といいましたが、正確にいうとトキソプラズマは原虫という顕微鏡レベルの小さな虫による感染症です。

色々な動物が感染しますが、他の動物が感染源となることはほとんどありません。

ですが猫に限っては、トキソプラズマが感染すると便中にオーシストという卵が出てきます。

このオーシストが人の口に入ってしまうと感染するという形になります。

ただし、恐れすぎないでほしいのが、オーシストを出すのは初回感染時の1~3週間だけです。

時々、妊娠されたことを期に飼い猫さんのトキソプラズマの抗体検査を受けにこられる方がいらっしゃいますが、まず抗体価が高い場合(感染したことがあるということ)は感染源になる可能性がほぼないです。

逆に、抗体価が低い(感染したことがない)としても、お外に出していない家猫さんが感染する機会は基本的にはないので安心してもらって良いと思います。

一方で、外猫さんや外と中を出入りしている家猫さんがいる場合は注意してもらった方がいいということを覚えておいてください。

どう対策すべき?

まずは、外猫さんへの対策として公園の砂やお庭の土などに直接触らない、もしくは触った後は必ずしっかり手を洗うことを徹底してください。

もちろん、外猫さんには触らない、もしくは触った後は必ずしっかり手を洗ってください。

さらに、お外と家を行き来している家猫さんがいる場合は、抗体検査してもらって過去の感染歴を確認してもらうのもひとつかもしれませんが、もう1つはねこちゃんのおトイレを必ず毎日キレイにしてもらうことです。

トキソプラズマのオーシスト(卵)は便に排出されて感染力をもつまで24~48時間かかるので、その前に処理してしまう方が安全です。

そしてその清掃作業はできれば妊娠されている方以外が担当するようにしてください。

あとは、ねこちゃん以外からの感染経路として、生肉には十分に注意してください。

これは妊婦さんが生ものを避けた方がいいという理由の一つでもありますが、生のお肉(特に豚肉ですが牛肉、鶏肉、羊肉も)は絶対に食べないようにしてください。

トキソプラズマに感染している動物の生肉だった場合は感染してしまう可能性があります。

もちろん生肉がお外に出ない家猫さんの感染源になる可能性があるので、ねこちゃんにも絶対に与えないように気を付けてくださいね。

最後に

トキソプラズマはかかってしまうと取り返しのつかないことになりかねない病気です。

正しく知ってもらって、恐れすぎてお家のねこちゃんを他所にやる必要はないことを知ってもらいつつ、ねこちゃんから感染しないように対策してもらえたらと思っています。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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