獣医さんのコラム(196)獣医さんが解説する大掃除は危険がいっぱい!?ここに注意!

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する大掃除は危険がいっぱい!?ここに注意!

  これに注意!危険なシュチエーション

  強アルカリ洗剤

  ・酸性洗剤

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

12月といえば、クリスマス、年賀状、仕事納めに大掃除。

色々やることがいっぱいです。

昨日は、クリスマスについて書きましたが、今日は大掃除について書いてみたいと思います。

獣医さんが解説する大掃除は危険がいっぱい!?ここに注意!

これに注意!危険なシュチエーション

洗剤とかは確かに、わんちゃん、ねこちゃんには危険そうな感じがしますよね。

じゃあどんな状況で危険なシュチエーションになりやすいのかということなのですが、

まず、経路として危険なものは3つあります。

一つ目は、誤飲

二つ目は、皮膚への付着

三つ目は、気化した薬剤の吸引です

一つ目で注意したいのは、お掃除中にキャップを開けっぱなしにしていたり、保管場所が手に届く範囲にあって入り込んでしまったりというパターンです。

二つ目は、つけ置きしている場所に入り込んでしまったり、掃除中に入って開けっぱなしの洗剤を倒してしまったりするパターンです。

三つ目は、浴室など密室になりやすい場所で換気が不十分なまま使っていたといったケースや、つけ置きしてあるものに興味を示して気化したものを吸い込んでしまうといったといったケースです。

あとは、わんちゃんもねこちゃんも肉球についたものを舐めとる習性があるので、洗剤をまいてある場所に入り込んでしまうと皮膚への付着とともに誤飲が同時に起こりえます。

基本的に掃除している部屋へ立ち入らせないようにすることと、保管場所を手の届かない場所にするということを改めて気にしていただけたらと思います。

強アルカリ洗剤

強アルカリ洗剤と言われてもどれ?ってなりますよね。

家庭でよく使われている強アルカリ洗剤として代表的なものは、オーブンやレンジフード用の油汚れ分解用の洗剤やパイプクリーナー(排水口用洗浄剤)です。

油汚れ用は必ずしも強アルカリ製剤とは限らないですが、『強力』『Max』など強さを謳っているような商品は気を付けた方が良いと思います。

成分的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムといった成分が含まれています。

これらを誤飲してしまうと、重度の化学熱傷(つまり焼け爛れたようになります)を起こします。

口の粘膜の白濁や潰瘍や激しい流涎、激しい痛みなどを起こしますし、大量に飲み込んでしまった場合は食道や胃の穿孔やショックを起こしてしまうこともあり、かなり危険なものです。

アルカリ製剤は皮膚のタンパク質の溶解を起こすので皮膚についた場合も激しい炎症や潰瘍が起きます。

おいてある洗剤が自然に気化して吸い込んでしまうことはないですが、スプレータイプのものを吸い込んでしまったりということはありえます。

その場合、咳や喘鳴や大量に吸い込んだ場合は呼吸困難などを起こす可能性があるのでご注意ください。

酸性洗剤

酸性洗剤は、トイレや水垢用洗剤に多いです。

代表的な成分は塩酸やスルファミン酸などです。

濃度によって組織への障害の強さがかわりますが、基本的に誤飲すると口の中にただれや流涎、嘔吐などを起こします。

例えば、塩酸濃度が濃いサンポールというトイレ洗剤を誤飲してしまった場合は、強アルカリ洗剤と同じように重度の化学熱傷を起こします。

酸性洗剤もタンパク質を変性させる作用があるので、皮膚についた場合は発赤や炎症、皮膚の潰瘍などを起こします。

また、酸性洗剤の代表格の塩酸は揮発しやすい性質を持っているので、換気の悪い部屋で使っていると吸入して咳やくしゃみ、気道の炎症の原因になります。

最後に

今日ご紹介した洗剤は、わんちゃん、ねこちゃんはもちろんのこと人にも危ない製剤です。

大掃除のときは、強力に汚れを落とす洗剤を買いたくなるものではありますが、使用・保管には十分にご注意いただけたらと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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