獣医さんのコラム(197)獣医さんが解説する催吐処置の時と場合!

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する催吐処置の時と場合!

  催吐処置って?

  催吐させてはいけないもの

  ・お家でも催吐させることってできるの?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

以前にも、異物を誤食した時の治療で催吐処置について書いたことがあるのですが、今日は改めてしっかり書いてみたいと思います。

何でも吐かせれるというわけではないのでご注意ください。

獣医さんが解説する催吐処置の時と場合!

催吐処置って?

まず『催吐処置』と言われてもピンとこない方もいらっしゃると思うので説明をすると、催吐処置とは何か食べてはいけないものを誤食した時に、薬剤などを使って人工的に嘔吐させる処置のことをいいます。

現在一番よくされている催吐処置は、血管に管を設置してそこから止血剤の一種であるトランサミンという薬剤を急速投与して嘔吐してもらう方法です。

わんちゃんの場合は、ほぼ100%近く嘔吐させることはできますが、何度吐かせても異物が出てこないということもよくあります。

その場合は、麻酔をかけての内視鏡処置になることが多いです。

ねこちゃんの場合は、同じ薬剤で催吐させられるときもありますが、病院に来るとかなり緊張状態になってしまうため、わんちゃんに比べて嘔吐まで持っていける確率は体感では1/4程度です。

他にもねこちゃんの催吐のためにメデトミジンやデクスメデトミジンといった麻酔薬の一種を使うこともありますが、それでも成功率は50%ちょっと〜といったところで、ねこちゃんを人工的に嘔吐させるのは意外と難しいというのが実際です。

催吐させてはいけないもの

誤食はかなり頻繁に起こる問題で、病院で催吐処置をする機会はかなり多いですが、だからこそこの処置はしていい場合としてはダメな場合があることも知っておいてほしいなと思います。

催吐処置が可能なのは、

・中毒性の食材を食べてしまった時

・おもちゃなど異物の誤食

・(腸に下って紐状異物になっていない状態の)紐の誤食

などです。

逆に催吐処置ができないものは、

・先が尖っていて催吐処置で臓器を傷つける恐れのあるもの

・強アルカリ洗剤や酸性洗剤などの化学的熱傷を起こすもの

などです。

実際のところはケースバイケースなので獣医師の判断で催吐をさせるかどうかを最終的に決めていますが、何を食べたかという情報がとても大事なので誤食したときは必ず何をどれだけ食べたかを伝えられるようにしてくださいね。

お家でも催吐させることってできるの?

基本的には、催吐処置は獣医師の管理下で適切な処置を受けるというのが基本になります。

ただ、どうしても病院にいけない状況の場合は、獣医師の指示のもとで自宅にあるもので催吐を試みるというケースはあるかもしれません。

その際に使用されるもので一般的なのはオキシドールです。

病院でも注射薬が手に入らない場合は、オキシドールを使って催吐させることがあります。

ただし、胃を荒らすという副作用があるので使いにくく、動物さんの負担にもなるので、最終手段というふうに思っていただければと思います。

最後に

前回、催吐のことを書いたときは吐かせてはいけない場合について書かなかったので、昨日のコラムで洗剤のことを書いたこともあり、今回は吐かせていいケースとダメなケースを書いてみました。

オキシドールも量まで書こうか迷ったのですが、安易に使ってしまうのは危険なので今回は名前だけにさせてもらいました。

誤食したときは、自己判断せずに必ず獣医さんに相談してくださいね!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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