獣医さんのコラム(198)獣医さんが解説する犬と猫の一番多い眼のトラブルって?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する犬と猫の一番多い眼のトラブルって?

  犬と猫の眼の病気の傾向

  わんちゃんのNo.1

  ・ねこちゃんのNo.1

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

本日は、眼についてのお話をしたいと思います。

わんちゃんとねこちゃんは別の動物種なので、やっぱり眼科でも多い病気が違います。

じゃあ、何が多いんだろ?というのが今日のテーマです。

獣医さんが解説する犬と猫の一番多い眼のトラブルって?

犬と猫の眼の病気の傾向

わんちゃんとねこちゃんは同じ病気になることもよくあります。

それは眼科でも同じなのですが、同じ症状でも原因になっているものが違ったり、病気の頻度が違うことがよくあります。

まず、わんちゃんに関しては、

お散歩に出る習慣がある子が多いので、外部との接触で起こる疾患であったり、遺伝的に起こるような病気が多いです。

具体的にいうと、眼科で有名な白内障や緑内障といった病気はほとんどの場合、遺伝的な背景で起こります。

これは、純血種のわんちゃんが多いというのも関係しているかもしれませんが、Mixのわんちゃんでも発症するのでやはり種族的にも遺伝的な病気は多めなのかなという印象があります。

一方で、ねこちゃんに関しては、

お家の中にいることが多いのと、反射神経も良いので外的な要因で起こる疾患は比較的少なく、わんちゃんで起こるような遺伝的な疾患も少ないです。

そのかわりヘルペスウイルスなど猫特有のウイルスや細菌などによる眼科疾患が多いです。

ちなみに、緑内障や白内障といった病気も起こりますが、わんちゃんよりかなり少ないです。

わんちゃんのNo.1

じゃあ、病院で獣医さんが一番よく診るわんちゃんの眼科疾患は何かというと、圧倒的に『角膜潰瘍』です。

角膜潰瘍とは一言でいうと、眼の表面に傷がついた状態のことです。

他の犬種の子でも角膜潰瘍は多いですが、わんちゃんの中でも短頭種の子たちは、顔の構造的に目が張り出していて、犬種によっては草や物に顔から飛び込んでいくので非常に眼に傷を作りやすいです。

ただ、実際のところ一番多いのは自分で目を擦ってしまって傷をつくってしまうパターンで、短頭種以外でもアレルギー性皮膚炎など痒みがある子が掻いてしまって傷をつくってしまい眼が開かなくなることがよくあります。

特に、トリミングの後やアレルギーがひどくなったときなどは自分で傷をつくってしまうことも多いのでご注意ください!

顔を気にしているなと思ったら、何かしらが起きているということなので一先ずエリザベスカラーをつけてもらい、よく観察してみてください。

いつもより赤かったりや痒がっているようであれば、ぜひカラーをしたまま病院を受診してもらえたらと思います。

ねこちゃんのNo.1

わんちゃんのNo.1は眼の傷でしたが、ねこちゃんのNo.1は何だと思いますか?

ねこちゃんで一番よく診るのは『結膜炎』です。

結膜炎というとかなり幅広くなってしまいますが、ねこちゃんの場合は、猫カゼのウイルスであるヘルペスウイルスの再燃による結膜炎が非常に多いです。

ヘルペスウイルスは一度でも感染すると、一生身体の中に潜伏感染します。

1歳以下の子猫さんや子猫さん以外でも免疫力が落ちると潜伏しているウイルスが再増殖して粘膜に炎症を起こし、繰り返し眼が充血したり、鼻粘膜に炎症を起こしてくしゃみ鼻水が出ることがよくあります。

ちなみに、ねこちゃんも角膜潰瘍で来院されることはありますが、ねこちゃんはわんちゃんよりアレルギーなどによる痒みがある子が少ないので、自分で傷をつくるより、多頭飼いのお家でねこちゃん同士の喧嘩が原因になっているようなことが多いです。

ちなみに、ヘルペスウイルスも眼の表面に角膜潰瘍をつくることがありますが、かなり重度にならないと発症しないので通常は結膜炎が一番多いかなと思います。

最後に

角膜潰瘍も、お年をとるとなかなか治らない難治性の角膜潰瘍に発展することもあるので奥深い病気です。

ねこちゃんの場合も、ケースバイケースですが、結膜炎を繰り返して悩ましいケースもあります。

やっぱり、よく診る病気こそ一番悩ましくもあるということかもしれませんね。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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