獣医さんのコラム(205)獣医さんが解説するなぜ犬猫はよく嘔吐するの?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説するなぜ犬猫はよく嘔吐するの?

  自然界で暮らすには嘔吐は必須技能!

  どういう回路で嘔吐しているの?

  ・こういう場合は様子見OK

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

いよいよ年末、仕事納めをされてお休みに入られた方も多いのではないでしょうか?

今日はわんちゃん、ねこちゃんの生理機能についてのお話をしたいと思います。

お題は『嘔吐』についてです。

獣医さんが解説するなぜ犬猫はよく嘔吐するの?

自然界で暮らすには嘔吐は必須技能!

わんちゃん、ねこちゃんと暮らしている方は犬・猫ってよく吐くなぁという思われているのではないでしょうか?

その子にもよるとは思いますが、実際に犬・猫は嘔吐しやすい動物です。

なぜかというと、『嘔吐』は高度に発達した生体の防御機能だからです。

犬・猫に限らず、肉食動物は生きるために腐敗した獲物や雑食物などを食べてながら進化してきました。

その中で毒性のあるものが体に入ってきたときにすぐに排出できるような身体機能を発達させてきたと考えられています。

あとは、ねこちゃんに関していうと猫にはグルーミングをする習性があり、毛を飲み込みやすく、胃のなかで毛球を形成し、排出するために嘔吐するという性質があります。

どういう回路で嘔吐しているの?

ヒトが吐くシュチエーションを考えてみると、相当に気持ち悪い状態や具合悪いときだと思います。

一方で、わんちゃん、ねこちゃんはしんどいときにも嘔吐しますが、体調にほとんど問題なくても吐くこともよくあります。

これは、2つの回路が関係していると言われています。

一つ目は、CTZ(化学受容器引き金帯)と呼ばれる部位です。

CTZ(化学受容器引き金帯)は脳に存在する毒物感知センサーのようなもので、血液や脳脊髄液の中の毒素や薬物、代謝産物(尿毒素など)を直接感知して、素早く延髄にある嘔吐中枢に伝え嘔吐を誘導します。

犬・猫はこのCTZ(化学受容器引き金帯)の感受性がとても高く、ヒトでは全く問題ないようなものや問題にならない量の成分が血中に入っても嘔吐が誘発されたりします。

ちなみに、嘔吐中枢は嘔吐運動を司る司令塔の役割を担っています。

具体的には、吐くという行為は横隔膜や腹筋、食道や胃を協調させて動かさなければいけない複雑な運動で、このどれかが連動しないと成立しません。

それを監督しているのが延髄にある嘔吐中枢です。

嘔吐回路の話に戻って、嘔吐を誘発する経路の二つ目は、胃腸からの迷走神経を介した嘔吐中枢への神経反射です。

犬・猫は非常にこの神経反射経路が発達しています。

炎症や異物、腐敗物による刺激だけではなく、胃の膨満といった機械的な刺激でも嘔吐反射が起こります。

わんちゃんやねこちゃんが食べすぎて吐いたりするのはこのためです。

また、ヒトだと気持ち悪いなぐらいの胃の状態でも嘔吐が誘発されることがあります。

さらに、ヒトと比較するなら、ヒトは社会的な要因や学習によって大脳による嘔吐抑制がかかるという性質を持っています。

それに比較すると、嘔吐反射への抑制がかからない動物さんの方が嘔吐しやすいとも言えると思います。

こういう場合は様子見OK

回路の話をすると、犬・猫がどれだけ嘔吐しやすい生体機能を持っているかがなんとなく伝わったのではないかと思います。

吐いているのを見ると心配になってしまうこともあると思うのですが、様子見をしてもいい嘔吐もあるということも覚えていてもらえたらと思います。

特に、

①継続しない嘔吐(一度だけや吐ききったら止まるような嘔吐)

②食べ過ぎ、毛球など明らかな原因がわかるような嘔吐

③慢性疾患を抱えている子の単発の嘔吐(身体の状態的に嘔吐を誘発しやすい)

などは経過を見てもらってもいいと思います。

逆に、何度も嘔吐が止まらない場合や、慢性疾患の子でも急に嘔吐が増えたという場合は身体の中で自力で解決できない何かが起こっているというふうに考えてもらえたらと思います。

最後に

逆に毛球などがきっかけでも、止まらない嘔吐は胃で炎症が起きていたり、機能異常が起きている可能性があります。

あとは、ケロッとしていても嘔吐回数が多い子もチェックが必要と思ってもらえたらと思います。

動物の生理も知りつつ、嘔吐ともお付き合いできたらいいですよね!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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