獣医さんのコラム(216)獣医さんが解説する脳腫瘍ができるとどうなるの?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する脳腫瘍ができるとどうなるの?

  犬・猫の脳腫瘍

  どんな症状が出るの

  ・治療の選択肢って?

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

脳は体の中で最重要な場所と言っても過言ではありません。

先週から今週にかけてコラムで取り上げた精神の話も全て脳に起因した話でもあります。

そんな脳にも当然病気が起こります。

神経疾患を疑ったときに、脳腫瘍ですか?という言葉が一番最初に飼い主さんから出てくることも多いです。

でも一方で、脳腫瘍って結局のところ、どれくらい、どんな風に起こるの?というのはあまり知られていないかもしれません。

本日は、そんな脳腫瘍の話をしたいと思います。

獣医さんが解説する脳腫瘍ができるとどうなるの?

遺伝って興味深い犬・猫の脳腫瘍

冒頭でも書いた通り、意外とすぐに頭に浮かぶもののちょっとあやふやな脳腫瘍という病気なのですが、実際のところ一つの指標として、剖検したときにわんちゃんで約2~5%、ねこちゃんで約2%で脳腫瘍が発見されたというデータがあります。

実際に診察している立場としても、診断まで辿り着かない推定の子も含めると体感でもしかしたらこのくらい出会っているかなとも思います。

意外と多いと思いませんか?

ちなみに、脳腫瘍にも原発性といって脳に原因となる腫瘍ができるパターンと、転移して脳にも腫瘍ができるパターンがあります。

ある報告では、犬で原発性が約80%、転移性が約20%だったということも報告されています。

犬でも猫でも原発性脳腫瘍で一番発生が多いのが、髄膜種という良性腫瘍です。

転移性脳腫瘍では犬は血管肉腫、猫では乳癌やリンパ腫で発生が多いことが知られています。

そしてぜひ知っておいてほしいのが、原発性が多い中で、さらに犬では髄膜腫が約50%という報告があり、手術ができる場所でさえあれば脳腫瘍であっても、治療後も元気に過ごせる子たちがちゃんといるということです。

脳腫瘍を疑ったとしても、検査や治療ができる可能性があるということも頭のどこかに置いておいていただければと思います。

どんな症状が出るの?

さて、ではどんな症状が出るかというとやっぱり一番は『痙攣発作』です。

腫瘍ができる部位によって症状は様々ですが、それでもやっぱり、進行性の痙攣発作やコントロールできない痙攣発作が出ていて、その子が高齢期だとやっぱり脳腫瘍が発見されることが比較的多いです。

痙攣発作以外にも、例えば大脳に腫瘍ができると、性格が変化したり、体の片側の動きづらさ、片側の眼の反射異常や視覚の消失などが出ることがあります。

小脳に腫瘍ができると、ロボットのような動きをしたり、運動失調などが出てきます。

そして、脳幹に腫瘍があると、意識の低下昏睡など生命維持に関わる重大な症状が出ることが多いです。

治療の選択肢って?

治療には診断が大きく関わってきます。

つまり、MRIでしっかり診断がされている場合は手術や放射線治療という選択肢が出てきます。

脳腫瘍の中で一番多い髄膜種は良性腫瘍で取りきれれば予後が良いため、一番多く外科適応されている脳腫瘍です。

そして、検査をしておらず診断がしっかりついていない場合(脳腫瘍疑いの場合)や、診断がついているものの積極的な治療を選択しなかった場合や手術などの適応外だった場合は基本的に対症療法が選択されます。

この対症療法は、脳圧を下げる薬や、ステロイドを使ったり、痙攣がある子であれば抗痙攣薬、吐き気がある子であれば制吐剤、皮下点滴をすることもよくあります。

つまり腫瘍自体ではなく、その腫瘍によって出てくる症状を和らげるための治療が対症療法です。

現状としては、脳腫瘍を疑う中で検査まで受ける子たちで絞られて、さらにそこから手術適応がある子という子で絞られ、手術を受けるかどうかでまた絞られていくので、手術までたどりつく子は一部です。

また、脳腫瘍に対する放射線治療となるとリニアックという機械を持っている施設に行く必要があり、週に何回も麻酔をかけて治療を受けることになるのでさらに限られてきます。

ただ、今後治療をする子は増えていくと思いますし、治療や検査も受けやすくなっていくと思うので、治療の選択肢もぜひ知っておいてもらえたらと思います。

最後に

ここ10~20年で獣医領域でも脳神経の病気の検査や治療は進んできています。

今からもっと色々な選択が持てるようになっていければと思っています。

今回はちょっと総括といった感じになってしまったので、また機会があればもう少し深い内容も書けたらと思いってます。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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