獣医さんのコラム(235)獣医さんが解説する犬・猫が発症する代謝疾患3選

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する犬・猫が発症する代謝疾患3選

  代謝疾患とは?

  糖尿病

  高脂血症

  肥満症

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

『代謝疾患』と言われても、あまり具体的なことが思い浮かばない言葉だなと思います。

でも、この疾患は地味に多い病気のカテゴリーです。

今日は代謝疾患とは?という話からわんちゃん、ねこちゃんでの具体的な病気についてもお話ししたいと思います。

獣医さんが解説する犬・猫が発症する代謝疾患3選

代謝疾患とは?

動物は、口から摂取した栄養素を消化管で消化し、吸収して生きています。

そして、吸収された栄養素はさらに分解されてエネルギーとして利用したり、他の物質を合成する材料になったり、逆に必要のないものは排出されたりします。

これがいわゆる『代謝』という一連の身体の生理機能です。

代謝疾患というのは、この代謝という機能のどこかが滞ってしまい起こる病気のことを言います。

具体に言うと、糖代謝がおかしくなると糖尿病、脂質代謝がおかしくなると脂質代謝異常(高脂血症、高コレステロール血症など)、尿酸がおかしくなると高尿酸血症(痛風)になります。

そう、実はよく聞くような病気がこの代謝疾患に含まれているのです。

上記であげたのは人間の病気ですが、わんちゃん、ねこちゃんでもちょっと違うところはありつつも代謝疾患はよく起こります。

今日はその中で、特に問題になりやすいものを3つピックアップして、人間との比較なども交えて取り上げたいと思います。

糖尿病

まずは、代謝疾患の代表格とも言える糖尿病です。

そして、人とわんちゃん、ねこちゃんの違いがわかりやすい病気でもあります。

代謝疾患になる要因は大きく2つに分かれています。

一つ目は、生活習慣です。

つまり、生活習慣病の一つとして起こるパターンです。

人間の糖尿病の主な原因となるのはこの生活習慣の悪化で、インスリンの効果が低下し、結果的にインスリン分泌も低下していく2型糖尿病という病型が多いです。

ねこちゃんも人間と同じで、肥満などによるインスリン抵抗性の上昇から血糖値がコントロールできなくなるパターンが主です。

二つ目は、遺伝的な問題です。

糖尿病でいうと、遺伝的に膵臓が破壊されてインスリン分泌が低下してしまう1型糖尿病という病型にあたります。

わんちゃんはこちらの方が主になります。

つまり、代謝疾患は、二つの要因と動物種としての要因など絡み合って発症すると言えると思います。

高脂血症

動物種による違いがよく現れているのが、次にご紹介する高脂血症です。

人でも多い病気だと思いますが、わんちゃんでも非常に多い病気です。

一方でねこちゃんではかなりレアな病気です。

これは、猫が炭水化物からエネルギーを得ずに、常に脂質代謝によってエネルギーを作り出している動物だからです。

つまり生物の特性として血中に脂肪が溜まりにくいのです。

一方で、わんちゃんは炭水化物からもエネルギーを得られる雑食性の動物のため、人間と同様に血中に脂肪が過剰になりやすいです。

ただし、同じ雑食動物とはいえ、わんちゃんも人間とは脂質代謝の特性が違うため、人間が高脂血症になると血管にコレステロールが沈着し動脈硬化を起こしやすくなることが知られていますが、わんちゃんの場合は高脂血症があっても動脈硬化を発症するのはかなりまれです。

肥満症

現代社会においてはダイエットは、みんなが悩んでいる問題の一つだと思います。

それはわんちゃん、ねこちゃんでも一緒で、この肥満症も犬・猫の代表的な代謝疾患の一つです。

特に、わんちゃん、ねこちゃんでは避妊手術や去勢手術をすることがあるので。その副次的な作用として肥満症になりやすくなります。

病気や生活の観点から良いことも多い手術ではあるのですが、性ホルモンが出なくなることでエネルギー代謝に影響が出るからです。

避妊手術や去勢手術後はエネルギーの必要量が20~30%減少することがわかっています。

特に去勢したオス猫ではそれが顕著です。

まだ、動物医療では肥満を病気と捉えてもらえないことも多いですが、肥満がもたらす合併症の深刻さを考えると医療的に取り組むべき問題と言えると思います。

動物医療業界は人の医療トレンドが遅れてやってくるので、近年のワークアウト意識の高まりを考えると人の意識がかわっていくにつれて動物たちにもその波がやってくるのではないかと思っています。

最後に

春といえば、健康診断ということで健康管理に大きくかかわっている代謝の話を取り上げてみました。

獣医さんとしては、人と犬と猫の身体の違いがわかってなかなか興味深い分野なのですが、いかがだったでしょうか?

少しでもへぇーっと思っていただけたら幸いです!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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