獣医さんのコラム(258)獣医さんが解説する腫瘍と栄養学

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説する腫瘍と栄養学

  腫瘍の患者さんの食事の基本的な考え方

  基本を踏まえて腫瘍の性質を知ろう!

  腫瘍に対抗する栄養とは?つ腫瘍の

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

先日、腫瘍を患うわんちゃんの飼い主さんから食事のことを聞かれたことがありました。

この食事に関することは、実はよく質問を受けるので、今回は私の経験なども踏まえて腫瘍と栄養についてまとめてみたいと思います。


獣医さんが解説する腫瘍と栄養学

腫瘍の患者さんの食事の基本的な考え方

よく質問を受けるのは「何を食べさせるのがいい?」ということなのですが、人間の時間の感覚からするとわんちゃんの腫瘍はとても進行が早いものが多いです。

そして、なかなか早期発見が難しいことも多く気づいたときにかなり進行してしまっていることもとても多いです。

それを踏まえて、一番根幹にあるのはまずは食事量を落とさないということです。

腫瘍は、動物さんの身体にある栄養素をどんどん吸い取って成長していきます。

そのため、同じ量を食べていてもどんどん体重が減ってきてしまいます。

さらに足りない栄養は今ある筋肉などを分解してまで得ようとするので、今まで身体に蓄えていた筋肉も脂肪もどんどん消費していってしまいます。

その結果、悪液質といって身体が栄養失調の状態になってしまい、免疫力や体力を落ちるという悪循環が生まれていくのです。

とくに、抗がん剤などをしている場合は、投与後に食欲が落ちてしまうことがよくあります。

こういった場合は、どの栄養がいいかより食べれるものをとにかく食べてもらうのが重要になってくると言えると思います。


基本を踏まえて腫瘍の性質を知ろう!

基本は『食べること』です。

でも、腫瘍に対してちょっとでも有効なことはないのかな?とも思われると思います。

そこで、もう少し掘り下げて腫瘍の性質の話にも触れていきたいと思います。

動物さんは身体を維持するためにたくさんの種類の栄養素を必要としていますが、腫瘍細胞は違います。

腫瘍細胞が欲しているのは、『糖質』です。

実はほとんどの腫瘍の栄養源は糖質なのです。

そこで、腫瘍を兵糧攻めにするという考え方でいうとなるべく糖質をカットするということになります。

わんちゃんやねこちゃんは人間と違ってほとんど糖質(炭水化物)をとらなくても生きていけるので、糖質をカットした食事療法をしやすい動物と言えるかもしれません。


腫瘍に対抗する栄養とは?

さらに腫瘍が身体の中で成長するにあたって常に炎症をつくり出していたり、大量の糖やアミノ酸を消費し、老廃物を宿主である動物さんに代謝させています。

それに対抗するために、オメガ脂肪酸(抗炎症)やアルギニン(免疫の賦活化や筋肉の維持)も有効と言われています。

ちなみに、これらを踏まえて腫瘍に対抗する栄養の組み合わせで有効と考えられているのは、筋肉を維持するためにの高タンパク、奪われる栄養を効率的に摂るための高脂質、腫瘍を兵糧攻めにするために低糖質に加え、オメガ脂肪酸、アルギニンを配合した食事です。

この食事を用いることで、ことリンパ腫の抗がん剤治療中の子に対する効果として3ヶ月の延命が期待できたという結果が報告されています。

この研究で使われたヒルズのn/dという商品は廃盤になっていますが、この栄養設計を使った食事は発売されていますので気になる方は調べてみていただけたらと思います。

ただし、冒頭にもお話しした通り、一番大事なのは食事量を維持することです。

実際に、リンパ腫の抗がん剤治療をしていると食欲がなくなる子がすごく多いので実際問題として腫瘍用のごはんだけを食べ続けられるというのはなかなか難しいと思います。

研究はあくまで効果の一例ということも忘れないでいただき、糖質に気をつけつつその子の状態と好みに合わせて考えていただくのがよいのではないかと思います。

最後に

ちなみに価格は高いですが、ほぼ肉や魚のみを使って作られたフードもこの高タンパク、高脂肪、低糖質という条件に当てはまっています。

わんちゃんでいうとK9 naturalやZIWI peakなどのメーカーさんがこれにあたると思います。

嗜好性も高いので一つの選択肢になるかもしれません。

フードの選択肢をお探しの方は検索してみてください。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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