獣医さんのコラム(274)獣医さんが解説するお腹の緩い猫は注意!病気が隠れてる?

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説するお腹の緩い猫は注意!病気が隠れてる?

  猫はお腹が緩くなる子が犬より少ない

  トリコモナス

  消化管リンパ腫

  甲状腺機能亢進症

 

 

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

前回はお腹の弱いわんちゃんたちの中の隠れている病気の話をしましたが、今回はねこちゃんの話をしたいと思います。

ねこちゃんは便秘に傾きやすい子が多いのでお腹が緩い子は要注意です!

獣医さんが解説するお腹の緩い猫は注意!病気が隠れてる?

猫はお腹が緩くなる子が犬より少ない

わんちゃんは、意外とお腹が弱い子が多いので、軟便になりやすかったり、たまに下痢しますという話をよく聞きます。

一方でねこちゃんは、年齢を重ねると腎機能が落ちてきやすい動物なので、どちらかというと体は脱水気味になり、便秘の方が多い動物です。

でも中には、お迎えした時からお腹が緩めな子や高齢期にお腹がゆるくなってきたという子もいます。

そういった子たちは、実はわんちゃん以上に何かしらの病気が隠れている可能性があったりします。

今日はそんなお腹の緩いねこちゃんに隠れている病気を3つご紹介したいと思います。

トリコモナス

わんちゃんもねこちゃんも目に見えるお腹の寄生虫にも感染しますが、お腹の寄生虫は目に見えるものだけではありません。

実は顕微鏡レベルでしか診断できない「原虫」というお腹の寄生虫もいたりします。

この寄生虫の中で、一番厄介なのがこのねこちゃんのトリコモナス・フィータスです。

うんちから経口感染するので、お迎えしたばかりのねこちゃんがしょっちゅう下痢していたり、お迎えしてから長期にわたってお腹の状態が落ち着かない子の中にはこの原虫に感染している子がいたりします。

一番厄介なのが、よく似た形態の他の原虫との区別ができないことがあり、一般的な原虫の治療をしても駆虫ができないことです。

この虫に関しては日本で手に入る薬剤では駆虫が難しく、海外から輸入した駆虫薬を使う必要があり、それでも駆虫率が80~90%程度という厄介な感染症です。

消化管リンパ腫

ねこちゃんで一番多い腫瘍はリンパ腫という種類です。

この腫瘍はわんちゃんでも発生の多い腫瘍で、もちろん人間でもよく聞く腫瘍です。

ただし、動物種によって少し発症する場所に違いがあります。

わんちゃんのリンパ腫はリンパ節が腫瘍化するタイプが多いのですが、一方でねこちゃんのリンパ腫は消化管にできることがとても多いです。

ねこちゃんは高齢期になると便秘気味に傾きやすくなるはずが、急に嘔吐が増えてきたり、お腹が壊しがちになったという子は要注意です。

消化管の腫瘍だと血液検査だけでは異常値が出てないことがあり、発見するには超音波検査が必要です。

春の健診などで血液検査だけをしている方も多いと思いますが、高齢期、慢性嘔吐や下痢は危険なキーワードなので、心当たりがある場合は必ず獣医さんに相談してくださいね。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症も高齢期のねこちゃんのお腹の緩さの原因になっていることがあります。

ねこちゃんで慢性腎不全が多いのは有名ですが、次に多い病気で名前が上がってくるものの一つです。

甲状腺ホルモンは活力を司るホルモンです。

このホルモンが出過ぎると、身体の全ての臓器を働かせすぎてしまうので、消化管も過蠕動になり過ぎてしまったり、ホルモンの作用による過食で消化が追いつかなくなり、お腹が緩くなります。

表面的には、活性化して元気そうに見えるので歳を取っても元気な子と思われがちな病気ですが、最終的には枯渇状態に陥り食べれなくなってしまう怖い病気でもあります。

お腹の緩さは早期発見のきっかけになるかもしれないので、ぜひ見逃さないようにしてもらえたらと思います。

最後に

昔よりかなり増えてはいるものの、ねこちゃんはいまだに病院に行き慣れていない子も多い動物さんなので、ぜひキーワードとして、慢性的なお腹の緩さは注意と覚えておいてもらえたらと思います。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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