
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
今日も昨日に引き続き、療法食の効果の第2弾をおおくりしたいと思います。
このテーマ、2つではおさまりきれず第3弾に続く予定です。
宜しければお付き合いいただけたらと思います。
獣医さんが解説する療法食の効果って?パート2

代表的な療法食④皮膚用
皮膚も療法食の役割が大きな場所です。
皮膚系の療法食には2つの系統があります。
一つは、皮膚のバリア機能や炎症を抑える設計のごはん、もう一つがアレルギーに対応したごはんです。
皮膚の維持として用いられることが多いのが、
①脂肪酸
オメガ3脂肪酸は抗炎症効果を発揮することで知られており、皮膚の療法食では皮膚の炎症を抑える目的で多く配合されています。
一方でオメガ6脂肪酸は摂りすぎると炎症の原因になると言われていますが、皮膚バリアの材料となるため減らせば良いわけではなく、2つのバランスをとりつつ、抗炎症作用が発揮できるように配合されています。
②抗酸化物質
さらに、慢性炎症などでは常に細胞の酸化ストレスにさらされている状態のため、抗酸化物質としてビタミンEやポリフェノールといった物質も配合されていることが多いです。
③その他の物質
その他にも亜鉛や銅など皮膚のスムーズなターンオーバーのために必須の物質も配合されています。
こういった皮膚の維持という目的に加え、アレルギーに対してフードの場合はさらに、
①加水分解タンパク食
食物アレルギーは食事中のタンパク質がアレルゲンとなっています。
そのためタンパク質を分解しポリペプチドとしてフードに配合することでアレルゲンとして認識されづらくするという考え方のもとで作られたごはんです。
②新奇タンパク食
食物アレルギーは幼児期に食べたタンパクを免疫細胞がアレルゲンとして認識していると言われています。
そのため、幼児期に摂取していないような新しいタンパク質を使ったフードであればアレルゲンにならないという考え方のもとつくられたごはんです。
気をつけるべきポイントは、アレルギー食はアレルギーの診断治療の一環である除去食試験に用いられるフードでもあります。
獣医さんは1型食物アレルギーなのか4型食物アレルギーなのかでどのタイプのフードを選ぶかを考えたり、今までの食暦などを加味してどのタンパク源のフードを選ぶかを決めています。
治療効果判定のためには他のタンパク質の影響を受けないように状況を調整し除去食試験を判定しているので、なんとなく使うというだけでは効果が得られないことがあるということです。
皮膚が弱いだけなのか、食物アレルギーの可能性があるのかも慎重な判断が必要なのと、選び方と使い所とその結果判断が難しいのが皮膚系のフードの特徴です。
代表的な療法食⑤心不全用
心臓用のフードの特徴は重度の心不全、つまり肺水腫を危惧するレベルに達した子の状態を維持するためキーアイテムになる可能性があるということです。
どういう効果があるかというと
①ナトリウムの制限
悪化しすぎて血液を抱えきれなくなってきた心臓に対して、ナトリウムの量を制限することで身体の中の水分量を抑え、なるべく血液量を減らして心臓の負荷をとる役割をになっています。
②カロリー密度/タンパク質の維持
心臓病が進行してくると、食欲が減退してきて、体重減少⇨筋肉量減少という心臓性悪液質の状態に陥ってきます。
筋肉量が減ってくるとさらに活動性も低下していくという悪循環を起こさないために、痩せさせないことや適切な筋肉量を維持するということが重要になってきます。
そのため、カロリーをしっかり摂れ、筋肉維持のためのタンパク質もしっかり摂れるような設計になっています。
③EPA/DHA、L-カルニチン、タウリンなど
心不全では炎症性の物質も関連していると言われ、EPA/DHAなどの抗炎症物質も配合されている場合が多いです。
その他にも大量にエネルギーを必要としている心筋にエネルギーを運ぶ役目をするL-カルニチンや心筋の維持のために必要なタウリンなども配合されている場合があります。
獣医さんのポイントとしては、あえて身体の中の水分を出すように設計されているため健康な子がナトリウムを制限すると体が脱水状態に傾き、健康管理にはマイナスであるという点やカロリー密度が高いということは太りやすいということでもあり、必要のない子が使うことがプラスになるフードではないということがあげられると思います。
一方で、心臓病の子を定期的にチェックし、療法食による制限をかける必要のある段階に療法食を導入することも重要なポイントです。
代表的な療法食⑥肝臓用
腎臓用があるように療法食には肝臓用フードもあります。
ただし、ちょっと注意してほしいのがこのフードは肝臓の数値が高い子に向けたフードというわけではないということです。
肝臓用のフードが適応になるのは、主に門脈体循環シャントの場合と銅関連肝障害の可能性がある場合です。
つまり、肝臓用フードの効果は、
①タンパク質の制限
タンパク質は分解され、最終的にはアンモニアなどの窒素化合物になります。
このアンモニアが問題になるのが門脈体循環シャントで、本来であればアンモニアは無害な尿素に肝臓で変換されてから全身の血流に流れていきますが、門脈体循環シャントの場合は、肝臓で処理される前にシャント血管によって全身に毒性の強いアンモニアが流れていってしまいます。
そこで、門脈体循環シャントを持っている子に関してはタンパク質を制限しアンモニアの量を調整する肝臓食が適応になります。
②銅の制限
銅関連性肝障害とは、その名の通り、肝臓に銅がたまることで酸化ストレスによって肝障害が起こり炎症・繊維化起きる疾患です。
そのため、この疾患が疑われる場合は銅を制限した肝臓用食が必要になってきます。
肝臓食の難しいところは、どの疾患に適応されるべきかわかりづらいということに尽きるかなと思います。
そして、一方で、適応疾患を持っている子にとっては、肝臓用の療法食を食べていないことが致命的になりうります。
そういった意味で獣医師の指導下で適切に使用してもらった方がいいごはんです。
最後に
明日は、さらにマイナーな療法食を取り上げてみようと思います。
療法食は今はないけどかつてはあったというフードもたくさんあるので、なかなかに奥が深いジャンルですよね。
明日もぜひお付き合いしていただけると幸いです。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ