もくじ
1. ごあいさつ
3. 最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
下痢シリーズも第4弾目になりました!
わんちゃん、ねこちゃんの慢性的に続く下痢は、何か継続的な原因があるはずなので病院にかかる必要ありと思ってもらっていいのですが、お腹の病気ではなくても、下痢が病気の症状の一つだったということも実は多いです。
そこで、今回はお腹の病気と別のところの病気だけど下痢症状が出ることがある病気も含め5つの病気をご紹介しようと思います。
下痢を起こす危険な病気5選
・子宮蓄膿症
未避妊の女の子は子宮の中に膿がたまる病気があります。
とても有名な病気なのですが、外陰部から膿が出る場合(開放型)と出ない場合(閉鎖型)があり発見や治療が遅くなると命に関わる病気です。
お腹の中に細菌が感染し炎症を起こしているので、腸にも波及して下痢や嘔吐もおこします。
蓄膿症と気づかずに食欲不振と下痢、嘔吐などで来院して、病院で発見されることも多い病気です。
・消化管腫瘍
わんちゃん、ねこちゃんに共通して腸で1番多い腫瘍はリンパ腫、2番目は腺癌と言われています。
腸の腫瘍はねこちゃんやわんちゃんの場合は超音波検査で見つけて、CT検査などでさらに詳しく検査をするというパターンが多いのではないかと思います。
加えて、特にリンパ腫には進行がゆっくりで慢性的な下痢になる種類があります。
後に取り上げている病気の炎症性腸症と症状だけでは区別ができないため、治療を開始する前に内視鏡で腸の一部を切り取って検査をして診断する必要があり、慢性的な下痢だからといって腫瘍を否定できないので注意が必要です。
・甲状腺機能亢進症
下痢にまつわるetc(ねこちゃん編)でも取り上げましたが、シニアのねこちゃんで甲状腺が大きくなって、ホルモンを出しすぎる病気です。
有名な症状は、食欲旺盛なのに痩せてきたやお水を飲む量が多くなった、シニアなのに元気というものですが、甲状腺のホルモンは体中の臓器を活性化してしまうので軟便〜下痢を繰り返すことも多いです。
元気だからまぁいいかと思っていると、最終的に枯渇して食欲不振になるので要注意な病気です。
・炎症性腸疾患
IBD(idiopathic inflammatory bowel disease)と呼ばれていることの多い疾患で、ステロイドや免疫抑制剤を使って治療をします。
ただ、この疾患を診断するには、他の病気がないことを確認して、食事や抗生剤にも反応しないかを試した後に、内視鏡検査でリンパ腫ではないことを確認して・・とかなり診断のステップが多いです。
リンパ管拡張症という病気を併発することも多く、その場合は血液中のタンパク質が低くなります。
・アレルギー
病院でみていると大なり小なりアレルギーを持っているわんちゃんが多いなと感じます。
アレルギーの主症状は皮膚なのですが、食物のアレルギーを持っているわんちゃんはその食物が通る消化管でも炎症を起こすので、軟便〜下痢の症状が出ることもあります。
特に、何かきっかけになる食べ物がある場合はその食べ物にアレルギーがあることがあるので、定期的にお腹をこわすわんちゃんは食べ物の習慣を一度考えてもらってもいいかもしれません。
最後に
実は、下痢という症状はどんな疾患でも起こす可能性のあるポピュラーな症状なので、治らない下痢に出会うと、獣医さんはどこかに原因がないかを検査して、それでも何も見つからない場合は、探偵のようにヒントがないかを捜査します。
捜査の結果、これだ!というものが見つかった時はまさに名探偵の気分です。
思わぬことが原因だったりもあるので、これは関係ないなと思っていることも全部、獣医さんに話していただくと捜査がはかどると思います。ぜひご協力を!
ではまた、次のコラムでお待ちしています。