獣医さんのコラム(49)獣医さんが解説するバレンタインは要注意!(犬編)

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんが解説するバレンタインは要注意!(犬編)

チョコレートの何が危険?

どんな症状が出るの?

食べてしまった時の対処法

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

お休みも終わって、いよいよバレンタインが近づいてきましたね!

獣医さん的には、バレンタインが近くなると毎年チョコレートの誤食の子の連絡がこないかソワソワする時期です。

本日は、そんなチョコレートの話、特に誤食が多いわんちゃんの中毒についてのお話をしてみたいと思います。

獣医さんが解説するバレンタインは要注意!(犬編)

チョコレートはわんちゃんには食べさせてはいけないというのは、徐々に浸透してきているなと思います。

今回は、改めて何がダメなのかということをまとめてみようと思います。

チョコレートの何が危険?

チョコレートに含まれているテオブロミン、カフェインがわんちゃんにとって危険な物質です。

チョコレートの中毒は、テオブロミンもカフェインもメチルキサンチンという成分に分類されます。

チョコレートの中毒量はこのメチルキサンチンの量(テオブロミン+カフェイン)で計算しています。

メチルキサンチン量で、わんちゃんの体重1kgあたりで軽度中毒が20mg、中程度中毒は40~50mg、重度中毒は60mgで起こります。

100~200mgで致死量になります。

ちなみに、チョコレートに含まれているメチルキサンチンの量で計算すると、

ミルクチョコレート(メチルキサンチン量1.67mg/g)で、わんちゃんの体重1kgあたり軽度中毒は12g、中程度中毒は24~30g、重度中毒は36g、60~120gで致死量になります。

ダークチョコレート(メチルキサンチン量5.2mg/g)で、わんちゃんの体重1kgあたり軽度中毒は3.8g、中程度中毒は7.7~9.6g、重度中毒は11.5g、19~38gで致死量になります。

どんな症状が出るの?

1~6時間程度で症状が出ることが多いです。

初期は、落ち着かない、多飲、嘔吐、下痢から始まって、

進行すると、多尿や震え、痙攣発作が出てきます。

食べたかどうかわからない時は、お口の臭いを嗅いでみて、チョコレートの匂いがするかを確認してみてください。

中毒量を計算する用に、パッケージや成分表、なくなった量が必須なので絶対に捨てずにいてくださいね。

食べてしまった時の対処法

食べて1~3時間以内であれば、基本的に催吐と言って、お薬を使って吐かせます。

一般的に、点滴のチューブを腕に入れて、催吐作用のあるお薬を血管に入れて吐かせることが多いです。

状態が悪い場合は、胃の中にチューブを入れて胃の中を洗浄することもあります。

かなり時間が経っている場合は症状に合わせて治療しますが、中和剤のようなお薬はないので、基本的な考え方としては、点滴をしてなるべく早く体の中から中毒物質を出しつつ、症状に合わせて対症療法をしています。

参考:犬と猫の救急医療プラクティス

最後に

わんちゃんは甘いものが好きな子が多いようで、チョコレートの誤食の子を治療する機会は割と多いです。

ダークチョコレートが流行った時は、自分は好きだけど、お仕事的にはとっても嫌でした汗

今年もチョコを貰ったら、ぜひ出しっぱなしにしないように注意してくださいね!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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