
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
まだまだ寒い2月でしたが、もう今週で終わりですね。
早いものです。
3月になるとあっというまに暖かくなって予防シーズンが始まるので、それに先駆けて予防についてのコラムシリーズをおおくりしようと思います。
1回目はわんちゃんの混合ワクチンについてです。
混合ワクチンについて説明してみよう

・混合ワクチンの種類
混合ワクチンの予防は3つのカテゴリーの病気で成り立っています
まずは
①致命的な病気
かかると致命的なパルボウイルス感染症、ジステンパー、犬伝染性肝炎の3つの予防するワクチンのことをコアワクチンとよんでいます。
この3つのうち、パルボウイルス以外はワクチンのおかげでほぼ発生がないような状況になっています。
パルボウイルスは、いまだにペットショップやブリーダーさんで発生することがあるので注意が必要です。
②犬のカゼ、お腹の感染症
パラインフルエンザ感染症、アデノウイルス2型感染症は犬カゼの症状を起こすウイルスで、飛沫感染します。
コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス感染症ではなく、子犬さんだと症状が出るお腹の感染症です。
この犬カゼ、お腹の感染症は子犬さんで発生が多く、ワクチンは重症化しないような役割があります。
③人にもかかる感染症
人にも移るレプトスピラ感染症を予防しています。
レプトスピラ感染症は、色々な型があり、その中には致命的な型があります。
特に暖かい地域で秋に発生することが多く、日本だと沖縄〜九州で発生が多いですが、北海道を除いて東北でも発生報告があります。
2016~2022年で273件の報告がありますが、診断されていない症例も含める毎年かなりの数発生しているのではないかと推測されます。
・混合ワクチンの使い分け
通常、ワクチン選びは、5もしくは6種ワクチンか7種以上のワクチンかのどちらかを選択するということが多いです。
5~6種ワクチンは、前の段落でお話しした①致命的な病気+②犬カゼetcの病気を組み合わせたワクチンです。
5と6の違いは②の病気で入っているものと入っていないものがあるという差で、アウトドアには行かないわんちゃはこちらを選択して問題ないと思います。
一方で、7種〜のワクチンは予防できる病気の種類が増えていっているわけではなく、
レプトスピラ感染症の型違いが増えていくと考えてもらえたらと思います。
基本的に、重症の型で疫学的に多いものが選ばれていますが多ければ多いほどカバーできる範囲は広がります。
レプトスピラは水辺から感染することが多い病気なので、アウトドアに行かれる可能性があるわんちゃんはこちらのワクチンを選択してもらうことが多いです。
ただし、多ければ多いほど良いかと言われるとそうでもなく、カバーする範囲が広いとワクチン接種後に体調を崩す可能性が増えるということもあります。
何種を打とうがなんともないわんちゃんもいれば、9種はだめだけど5種なら大丈夫という場合もあるので、生活環境とその子の体質で決めてもらえたらと思います。
・絶対打たないといけないもの?
混合ワクチンは、絶対しないといけない予防というイメージがあるかもしれませんが、任意予防になります。
つまり、病気やワクチンアレルギーなど理由がある場合は打つ必要はありません。
ただし、任意予防と言っても、子供の予防接種のような意味合いに近く、打ってないとトリミングやホテル、ドッグランを利用できなかったりと制約もあります。
また、打たない人が増えると、ワクチンによって少なくなった病気がまた増えていったり、いざ罹った時に重症化したりということも考えられます。
ワクチンに抵抗がある方や、病気の関係で打ちたくない方へのおすすめとして、自分の判断だけで打たないのではなく、できれば獣医さんと相談の上で打たない選択肢を選んでもらえたらと思っています。
獣医さんと相談の上で打たないという選択をすると、診断書などを発行してもらうことでホテルへの宿泊やトリミングの利用などができるようになる場合も多いです。
最後に
今回は、混合ワクチンの話を書いてみました。
ワクチンを打ちたくない時にする抗体検査の話など、まだ書きたいことはいっぱいあるのですが、
また別のコラムでそのあたりの話はまとめさせてもらえたらと思っています。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ