
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
狂犬病予防って混合ワクチンもあるし、ハガキも届くし面倒に思うことありませんか?
本日は、そんな狂犬病予防について予防シリーズ第2弾として解説していきたいと思います。
ワクチネーションのスケジュールの話などは別にまとめようと思っているので、今回は知識についての話をします!
狂犬病予防について説明してみよう

・狂犬病ってなあに?
狂犬という名前の通り、わんちゃんがかかると2週間〜程度で興奮状態に陥り、誰かれ構わず噛みついてしまうような状態になり、その後に麻痺状態に陥って死んでしまう怖い病気です。
さらに怖いことに、人に噛みついてしまうと人にも感染してしまい、同じような状態に陥って死んでしまいます。
一度発症したら、治療法もなく、人への感染の危険から治療も受けらずに隔離されます。
・予防している理由って?
症状を出すと治療することもできない狂犬病で、唯一できることが発症させないことです。
そのために、必要なのがワクチンで抗体をつくっておくことです。
狂犬病はわんちゃんの予防で聞く病気ですが、実は人で問題になっている病気で、わんちゃんが予防しているのも人の命を守るためなのです。
というのは、人に感染するルートのほとんどはわんちゃんからなので犬での発症させないことがとても重要なのです。
実際に、わんちゃんの予防をすることで日本は清浄国(国内での撲滅されている国)になったという実績があり、1950年に法律で施行されてわずか7年後の1957年の発症確認以降、国内感染での発症なくなっています。
ただし、イギリスやオーストラリアなど少数の国を除いては、狂犬病がいまだに発生しているので、いつ日本に入ってきてもおかしくない状況です。
万が一、流入した場合に人への感染源であるわんちゃんのうち約70%が抗体を持っていないと感染が広がることを防げないと言われており、そのために法律で接種が義務付けられています。

・予防の制度
狂犬病の接種は1年に1回ですが、その1年の期間は少し特殊で、3/2~翌年の3/1を1年とカウントされます。
わんちゃんをお家にお迎えすると、市町村に登録(=鑑札をもらう)して、毎年1回注射を受けて注射済票という紙のプレートをもらう必要があります。
予防注射だけを受けて注射証明書だけをお持ちの方もいらっしゃいますが、法律上、登録と注射済票の発行までが必要なのでご注意ください。
ちなみに、2022年にマイクロチップの義務化と同時に狂犬病のワンストップ制度という制度も始まりました。
この制度は、マイクロチップの登録を終えると、自動的に役所に情報が共有されて登録しなくても、つまり鑑札をわざわざ発行してもらわなくても登録が終わっているという便利な制度です。
ただし、今のところ全ての市町村がこの制度に加入しているわけではないので、加入していない市町村にお住まいの場合は今まで通りの鑑札を発行してもらう必要があります。
・絶対打たないといけないもの?
法律で義務付けられているので、予防接種を受けることが原則です。
実は、個人的な判断で打たなかったり、登録しないと法律違反になってしまいます。
なので、病気やアレルギーの問題で打ちたくない場合は必ず獣医さんに相談してほしいなと思います。
狂犬病の猶予証明を用意している病院も多く、相談で発行してもらえるといいと思います。
日本にない病気なのに…と面倒に感じてしまうかもしれないですが、わんちゃんに噛まれた!というトラブルが起きた時に、狂犬病の発症に怯えなくても良いのはこの制度があるからなのです。
法律を変えるのはなかなか難しいですが、現場では現状に合わせて割と柔軟に対応しているので、ぜひ相談してくださいね。
最後に
法律自体は、75年前に施行されたものなので、現行の生活にそぐわないことも多々あるのですが、
現場では割と柔軟に対応しています。
ちょっと面倒に思ってしまうこともあると思いますが、歴史や知識を知るとことで納得感を伴った予防になればいいなと思います。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ