
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
わんちゃんの予防といえば、フィラリア予防ですよね。
フィラリア予防は開始時期が決まっているので、その時期に病院に患者さんが殺到してしまって、病院もバタバタ、飼い主さんも待たないといけなくて大変ですよね。。
そんなフィラリア予防ですが意外と何をしているかよくわからないっていうことはないでしょうか?
今日は予防シリーズ第3弾として、フィラリア予防について解説していきたいと思います。
フィラリア予防について説明してみよう

・フィラリアってなあに?
フィラリアは、蚊が媒介する寄生虫です。
わんちゃんがフィラリアに感染した蚊に刺されると、血を吸われるときに蚊が持っているフィラリアの子虫(L3という段階の虫)が入ってきます。
子虫は皮膚の下で、1ヶ月程度をかけて中くらいの虫(L4)に成長し、さらに50日〜の期間をかけて成長して成虫まじかの虫(L5)になると皮膚の下から血管に移動します。
そして血管の中でさらに成長を続け成虫(L5)になると心臓や肺動脈に定住することになります。
この定住先が問題で、血液を送り出す重要な場所に定住することで心臓の働きを邪魔してしまい、心不全の状態に陥るのです。
症状としては、咳や食欲不振、腹水などといった症状が出ます。
・予防って何をしているの?
予防と言うと虫が寄生しないよう守っているようなイメージを持たれるかもしれませんが、実際には絶対に蚊に刺されない薬や、蚊に刺されても子虫が入ってこない薬をつくるのは難しいです。
フィラリア予防とは、子虫が入ってきたときに成虫になって害が出る前に全て駆虫してしまおうという発想で行われているスケジュール化された駆虫のことをさします。
この駆虫スケジュールが1ヶ月に1回、蚊が出始めてから1ヶ月後から開始して蚊が出なくなって1ヶ月後に最後の駆虫をするといういわゆるフィラリア予防期間になります。
・予防のTIP

フィラリアの予防期間というと簡単に聞こえますが、蚊がいる期間=予防期間と思っている方が多いのではないでしょうか?
予防期間の最後は冬になっているので、もう蚊がいないのに飲ませる必要ないんじゃない?と最後の方は飲ませない方がいらしゃるのですが、実は、蚊がいる時期=予防期間ではありません。
フィラリアが成虫になるまでの成長段階のうち中くらいの虫(L4)のときにしか駆虫薬は100%効きません。
この時期を逃すと駆虫もれが出てしまいます。
この中くらいの虫(L4)になるのは、蚊に刺されて1ヶ月後くらいなので、フィラリアの予防期間=蚊が出出してから1ヶ月後〜蚊がいなくなって1ヶ月後が正解です。
確かに、気温が下がってくると蚊の数は少なくなってくるので感染機会は減ると思いますが、この予防の性質上、ずっと予防していても予防もれした期間にフィラリアが入ってきてしまったら、今までの努力が水の泡になるので、しっかり予防薬を飲み切ってもらった方がいいと思います。
・絶対予防しないといけないの?
もちろん、任意の予防なのでしなければいけないというわけではありません。
実際、予防率が上がって都市部だとフィラリアに感染した蚊がいないということも多いですが、
同じ都道府県内でも、都市部はあまり発生していないものの山の方ではまだ症例がいるといった発生状況なので、流入を考えると予防してもらった方が良いと思います。
最後に
最近、温暖化もあって1年中予防するというパターンも増えてきました。
特に、おやつタイプで取り入れやすいというのと、ノミダニやお腹の寄生虫など色々な駆虫が一つでできるようになっているのも注射などに比べると取り入れやすいのかなと思います。
検査などで時間を取られがちではありますが、検査の時に一緒に血液検査もできたりと良い機会になる予防ではあるかなと思います。
是非、待ち時間や煩わしさに負けずに毎年最後まで予防してあげてくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ