
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
大阪の万博がとうとう始まりましたね!
日曜日からお天気が微妙ですが、盛り上がってくれますように!
さて、本日は歯周病シリーズの治療編に入っていきたいと思っています。
お付き合いいただければ幸いです。
獣医さんが解説する歯周病の治療法って?①

歯周病の治療法
歯周病の治療といえば、スケーリングと抜歯ということになると思います。
歯ブラシは?と言われそうなのですが、動物さんでいうと歯ブラシは治療というよりは日々の予防です。
歯ブラシはスケーリングとセットなので、スケーリング=歯ブラシをしなくていいというわけではなく、むしろスケーリング=歯ブラシが必須と考えていただけるといいと思います。
今日は、まずスケーリングについてを取り上げてみたいと思います。
無麻酔スケーリングと麻酔下スケーリングの違いについてです。
無麻酔スケーリング
無麻酔スケーリングは基本的には、サロンなどで行われていることが多いです。
動物病院でも数はかなり少ないですが行っていることもあります。
無麻酔スケーリングは、大まかに歯石を除去して、お口の中の環境を改善させたり、口臭を緩和したりすることに有効です。
また、どうしても麻酔をかけたくない比較的大人しい子には適用となる場合があります。
ただし、治療としてはなかなか難しいところで、
①大人しい子しかできない
タオルで巻いてスケーリングをするので、大人しい子しか適応にならないのと、見える範囲(させてくれる範囲)の歯石しか取れません。
②ハンドスケーラー
麻酔下だと超音波スケーラーを使って超音波振動で歯石を取るのですが、無麻酔だとハンドスケーラーが多いのではないかと思います。
また、ポリッシングといって歯石をとった後に表面を研磨して歯石をつきにくくするような処置もできないことが多いと思います。
③歯周ポケットの処置ができない
歯周病で問題になる部分は、特に歯周ポケットという歯と歯茎の間の空間なのですが、無麻酔だと歯周ポケットの処置はできないです。
また、ぐらついている歯を抜歯したり、ぐらついた歯の歯石とりは基本的にできません。
できないことも多いのですが、歯石は細菌の塊なので大まかな歯石がなくなることで、歯ブラシで追いつかなかったお口の中の環境の改善にはとても有効です。
ただし、獣医さんの共通認識として歯周病の治療としては不十分であると認識されています。
麻酔下スケーリング
歯周病の治療としては麻酔下スケーリングをする必要があります。
意識があって口を閉じている状態だと、どうしても歯のぐらつきや歯周ポケットの深さなどを評価することが難しいことが多いです。
麻酔をかけてみて、処置しなければいけない歯が新たに見つかることがとても多いので、まずは評価という面でも動物さんの場合は麻酔が必要だと思います。
また、動物さんの場合は虫歯がほぼ発生しない分、歯肉炎からの歯肉退行や歯根膿瘍などが問題になることが多いです。
抜歯が必要な場合がとても多いので、多くの場合はスケーリングと一緒に抜歯もしています。
そしてたとえ、抜歯が必要ない場合でも歯周ポケットの中をきれいにすることが歯肉炎と歯肉退行の治療に必須です。
そして、最後にポリッシングといって、歯石がつきにくくするために表面を2種類の研磨剤で磨いて、歯周ポケットにお薬を入れたりするといった処置も一緒にしています。
どっちを選ぶべき?
獣医さんとしては、いずれは麻酔下処置も考えてのつなぎの無麻酔処置という考え方であれば、無麻酔スケーリングは有効だと思います。
実際に、無麻酔スケーリングで歯石を落とすことで反応性に上がっていた肝数値などが下がったりということも経験しています。
ただし、治療としては足りないということは理解した上でしてあげてもらえたらいいなと思っています。
最後に
なかなか麻酔をかけると言われるとハードルが高くなりがちですよね。
ためらう気持ちもすごくよくわかります。
無麻酔は絶対ダメという獣医さんも多いとは思いますが、私は利点と欠点をしっかり理解した上で使い分けてもらえたら無麻酔スケーリングも有効だと思います。
お口をどうにかきれいにしてあげたいという気持ちがとても大切です!
獣医さんとも相談しつつ、無麻酔、麻酔下を使い分けてぜひお口をきれいに保ってあげてくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ