獣医さんのコラム(85)獣医さんが解説する歯周病の疑問、それホント?

もくじ

1. ごあいさつ

2.歯周病の疑問、それホント?

 ガムをかましているから大丈夫?

 虫歯がないのはなんで?

 定期的にスケーリングしているから大丈夫?

 デンタルガム以外も噛ませるのは効果的?

 歯周病リスクはどの子も一緒?

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

いよいよ、歯周病のシリーズも終盤。

インスタライブで話した内容もありますが、よく聞かれることをまとめてみました!

そらそうだよねということも、なぜ?というところも知ってもらえるといいなと思っています。

歯周病の疑問、それホント?

ガムをかましているから大丈夫?

デンタルケアについてお聞きすると、ガムをかましていますと言われることもあるのですが、やっぱり歯ブラシには代えられないというのがホントのところです。

歯周病は歯周ポケットの細菌をきれいにすることが重要なので、噛むだけではどうしても足りないのです。

では、デンタルガムに意味があるの?ということなのですが、噛むことでの歯垢除去の効果は確かにあります。

わんちゃんで歯石化に3日と言われているので、歯ブラシはしっかりした方がいい…

でも長時間は難しい。。

そういう時の補助に使ってもらうといいと思います。

3日でひとまわりする想定で1日に歯磨きするのは短時間ですまして、その代わりにガムを補助的にかましたり、2日頑張って1日お休み、お休みの日はガムで補助するという使い方をしてもらえるといいかなと思います。

そしてガムの効果を最大限活かすなら、スティック状のガムを飼い主さんが片手で持ってかませてあげてください。

わんちゃんに渡してしまうとちょっと噛んで飲み込んでしまうことがあるので、とにかく長く噛んでもらうことと、満遍なく両側で噛んでもらうようにコントロールすることが重要です!

虫歯がないのはなんで?

こちらは、インスタライブでも触れましたが、

実は、わんちゃんとねこちゃんのお口の中の常在細菌には虫歯の原因となる菌がいません。

なので、歯を侵食していくような症状は出ないのです。

ちなみに、虫歯菌がいる子は虫歯になる可能性があり、症例としてはあるようです。

スケーリングで歯周病対策できる?

毎年スケーリングで歯をケアして普段はあまり何もしていないという方もいらっしゃるのですが、

実はスケーリングをすると、どうしても歯の表面に傷が残ります。

ポリッシングといって、2種類の研磨剤をつかってなるべくツルツルになるようにはしているのですが、やっぱり完璧ではないので、スケーリング後に今まで以上に歯石がつくというのもよくある話です。

スケーリングの役割は口の中をきれいにして歯肉炎をリセットすることです。

歯ブラシなどしていても、少しずつ歯石などがついてきてしまい歯肉炎の管理が難しいので、リセットして歯ブラシをリスタートするという位置付けで思ってもらえたらと思っています。

歯ブラシ習慣がない場合は、スケーリングをする前にデンタルケアのトレーニングをしてもらって、スケーリング後にスタートを切ってもらうということをおすすめしています。

デンタルガム以外も噛ませるのは効果的?

ボーンや木製のデンタルケア商品も巷に溢れていますが、残念ながらできればデンタルガムか少し柔らかいもの以外は使わないでもらえたらと思います。

硬いものを噛ませていると、奥歯が割れてしまうことが本当に多いのです。

奥歯が欠けていたり割れて露髄してしまっているとそこから細菌が入ってしまい歯根に感染を起こすので、抜歯や歯冠修復の対象になってきます。

これは本当に多いのと縦に割れて痛みを出さないと気づかないことが多いので、今硬いものを使っているという方はすぐにやめてくださいね!

歯周病リスクはどの子も一緒?

これもインスタライブで触れたのですが、歯石のなりやすさは唾液の成分によって左右されるので個人差があると思います。

また、歯周病のなりやすさも細菌の種類の問題があるので個体差があると思います。

もちろん、日頃のケアや習慣も関連していると思いますが体質も大きいと思います。

あとは、小型犬は歯間が狭いので歯周病がひどくなりやすいと言われています。

特に、M.ダックスフンドさんは小型犬の上に歯が発達していて歯根が立派なので、歯根膿瘍などになったときも歯が自然に抜けにくく重症化しやすいです。

最後に

いかがだったでしょうか?

歯に関しては、ちょっと違うところもあるものの人と原理は一緒なのでやっぱり歯ミガキは外せないです。

とはいえ、人のように1日2回〜3回もは難しいのでガムなどの補助的なもので補ってもらうと考えてもらえるといいなと思います。

明日は、最終回として歯周病がおこす他の病気を人と比較してお話してみたいと思っています。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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