獣医さんのコラム(89)獣医さんが解説する獣医さんがよく診る足の整形疾患3選

もくじ

1. ごあいさつ

2.獣医さんがよく診る足の整形疾患3選

 膝蓋骨内方脱臼(パテラ)

 前十字靱帯断裂

 前足の骨折

3.最後に

ごあいさつ

こんにちは。

オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。

とうとうG.Wが始まりましたね!

気温が不安定な日が続いているのでお仕事がある方も、お休みの方もほっと一息体を休めたいところですね。

一方のわんちゃんたちは、みんながお家にいるのでとっても嬉しい日々かもしれません。

さて、今日はそんなはしゃいでしまうお休みにも起こりやすい整形疾患をとりあげてみたいと思います。

獣医さんがよく診る足の整形疾患3選

整形疾患というと、骨折というイメージはないでしょうか?

それも間違いではないのですが、わんちゃんで多い整形疾患は実は骨格異常からくるものです。

そんなわんちゃんの整形疾患のうち、獣医さんの体感で多いなと感じる病気を3つ選んでご紹介してみようと思います。

膝蓋骨内方脱臼(パテラ)

皆さんもパテラという言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

このパテラという言葉は『膝蓋骨』の英語にあたる言葉です。

とても多い病気ですが、病名が難しいので略して『パテラ』という呼び方が定着しています。

膝蓋骨という膝の小さな骨が骨格の問題で内側に外れて落ちてしまうのが膝蓋骨内方脱臼という病気です。

グレード1から4までがあって、グレード4のわんちゃんは手術が必要ですが、グレード3までのわんちゃんは手術をせずに保存療法で様子をみている子の方が圧倒的に多いです。

根本的には骨格の問題なので、手術なしで治すことは難しい病気ではありますが、体重管理や生活環境の整備で過ごせることが多いです。

ちなみに、小型犬のわんちゃんではごく軽度な子も含めるとほぼ持っていない子がいないので、病院で指摘されても驚かないでくださいね。

前十字靱帯断裂

人間もわんちゃんもお膝の中には2つの靭帯があります。

わんちゃんは骨格の問題で、2つの靭帯のうちの前十字靭帯を損傷しやすいという性質を持っています。

大型犬の子で走りまわっている時に急に靭帯が切れてしまうこともありますし、小型犬の子がお家で遊んでいる時に発症することもあります。

大型犬の子は手術が必要ですが、小型犬の子だと手術をしなくても膝が安定して歩けるようになることも多いです。

ただし、膝蓋骨内方脱臼を持っている子だと小型犬でも手術をしないと足を元通り使えるようにならないこともあります。

前足の骨折

整形外科のイメージ通り、骨折も1歳以下のわんちゃんで発生が多いです。

特に、前足はお膝の上やソファーからとびおりただけで簡単に骨折してしまうことがあります。

どこかからとびおりた後に、前足を完全にあげてしまっている場合は骨折している可能性が高いのですぐに病院に行くか、病院に行くまでは狭いところで安静してもらっておいてくださいね。

ちなみに、T.プードルさんの前足は1cmもないことが多く本当に折れやすいので要注意です!

最後に

整形と聞くとちょっと小難しいイメージがあるかもしれませんが、病気としてはとても身近なものかなと思います。

整形の病気は、全て体重管理と共にあるといっても過言ではないので、足の問題を指摘されたことがあるわんちゃんは太らせないようにしましょうね。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者

2010年 北里大学獣医学部卒業

大阪、東北の動物病院を経て、

2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医

2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務

2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ

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