もくじ
1. ごあいさつ
4. 最後に
ごあいさつ
こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
前回は、わんちゃん編で子犬さんと大人の下痢について取り上げさせていただきましたが、今回はねこちゃん編をお送りしようと思います。
ねこちゃんはわんちゃんと同じくとても身近な動物ですが、実はわんちゃんと全く違う動物です。
同じ病気もあるけど、違うところも多い、そんなねこちゃんの下痢とは?
わんちゃんとも比較しながら取り上げたいと思います。
子猫さんで要注意な下痢とは?
わんちゃん編で、環境の変化での下痢や寄生虫を原因とする下痢のお話を書かせていただきましたが、ねこちゃんもその話は共通と考えていただいてよいと思います。
ただ、ねこちゃんはわんちゃんよりはお腹の調子をこわしづらい印象があります。
ただ、一つだけ罹るととても大変なねこちゃん特有の寄生虫があるので要注意です。
それは、トリコモナス・フィータスという原虫です。原虫なので、顕微鏡でしか見えない小さな虫なのですが、何が大変かというと、日本で販売されているお薬では駆虫ができないことです。日本で販売されている抗原虫薬というお薬を使うと症状がマシになることもあるのですが、駆虫はできず、お薬を飲んでいる間はマシにはなるけど…という状態になることが多いです。駆虫には、ロニダゾールという海外薬を輸入して使う必要があり、その薬をもってしても100%の駆虫率は難しいのではという話もあります。
私が治療した中では、幸い駆虫できなかったねこちゃんはいなかったですが、先住のねこちゃんにも移ってしまってというケースも多いのと、お薬が飲めなくて駆虫を断念せざるえなかったということもありました。ちなみに、海外薬は基本的に保険適応にならないことが多いので費用も大変です。
駆虫が難しいわりに、ちょこちょこ子猫さんが持っているこの虫は本当に厄介です。
新しいねこちゃんを迎える際には、病歴に注意してくださいね。
大人の猫ちゃん、この症状に気をつけて!
獣医をしていて、ねこちゃんはわんちゃんに比べお腹が強いなという印象があります。決してお腹をこわさないというわけではないのですが、1回お腹をこわしても自然に調子が整う子が多いなと感じています。
そんな猫ちゃんで、少し気をつけてほしい症状が一つ。それはシニアになってきた時に、お腹が慢性的に緩くなるパターンです。このパターンで、獣医さんが一番疑いたくなるのが甲状腺機能亢進症です。ねこちゃんはわんちゃんと違って、歳をとってくると甲状腺というホルモンを出す組織が大きくなり働きが過剰になる病気があります。甲状腺ホルモンは、端的にいうと『働きを活性化する』ホルモンで、お腹がとおりやすくなるという症状を出すことがあります。シニアになっての慢性的なお腹の症状は元気に思えてもお医者さんに相談することをお勧めします。
いかがだったでしょうか?
「そうなんだ!」がひとつでもあれば嬉しいです。
書きだしてみると、下痢についてはどんどん書きたいことがあふれてくるので、次回のねこちゃん編が終わったら、シリーズとして続くかもしれません。
最後に
昔は、ねこちゃんは小さなわんちゃんといった扱いが多かったのですが、最近はねこちゃんに対する医療が見直されてきています。猫専用の待合室を設ける病院が増えてきたり、キャットフレンドリークリニックという国際基準を取得する病院も出てきました。
この記事も猫好きの方の役に立てば幸いです。
ではまた、次のコラムでお待ちしています。