
もくじ
1. ごあいさつ
3.最後に
ごあいさつ

こんにちは。
オンラインどうぶつ病院Talkvets獣医師の前田です。
本日は猫ちゃんの予防編も最終回です。
最終回は、わんちゃんでしている予防って猫ちゃんはしなくてもいいの?という話をしたいと思っています。
猫ちゃんのフィラリアはなんとなく知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はフィラリア予防と狂犬病予防について取り上げてみました。
参考になれば幸いです。
猫ちゃんのその他の予防について説明してみよう

・猫ちゃんでのフィラリア予防って?
フィラリアという寄生虫の本来のターゲットはわんちゃんです。
ただし、フィラリアをもっている蚊が猫ちゃんを刺すと猫ちゃんにも寄生することがわかっています。
この本来のターゲットではないということがポイントで、わんちゃんの場合はある程度進行しないと症状がわからないことが多く、主に心不全や咳が問題になります。
一方で、猫ちゃんは本来の宿主ではないので、体の中に入ったフィラリアに対する拒否(免疫)反応が激しいことが問題になります。
特に、肺に到達したフィラリアに拒否(免疫)反応を起こして炎症が起こることで、呼吸困難を起こるので、1匹のフィラリアが命取りになることもあります。
拒否(免疫)反応が起こらなかったとしても、猫ちゃんは心臓が小さいので、少数のフィラリアの寄生でも心臓が機能不全に陥ります。
まだまだ、実態がわかっていないことが多く、診断がつかないまま亡くなっている猫ちゃんも実はかなりの数いるのではないかと思う怖い病気の一つです。
・狂犬病って猫はかからない?
狂犬病といえばわんちゃんの予防で有名ですが、実は清浄国(その病気が発生していない国)になる前の最後の狂犬病の患者さんは猫ちゃんでした。
狂犬病は猫ちゃんも含め野生動物など、わんちゃん以外も幅広くかかる怖い病気です。
猫ちゃんが狂犬病にかかると、わんちゃんと同様に狂騒状態に陥り神経症状が出て亡くなります。
なぜ、わんちゃんしか予防していないかというと、狂犬病の予防はわんちゃんのための予防というより人が感染しないようにするためのもので、日本で狂犬病がまだ発症していたときの感染経路の95%が犬からだったからというのがその理由になると思います。
・予防って必要?
フィラリア予防に関しては、お家の中にも蚊が入ってくる可能性があり、万が一かかると激しい症状が出ること、あとは、ノミダニ薬と一体化した予防薬がノミダニだけのものとさほどかわらない価格で処方してもらえるので予防しておくにこしたことがないと思います。
狂犬病に関しては、実は動物病院においてある狂犬病ワクチンは猫ちゃんとわんちゃん共通のものなので、病院であればどこでも接種が可能です。
ただし、国内で発症がないこととお家で過ごす猫ちゃんが多いこと、あとは狂犬病ワクチンが注射部位肉腫の発症に注意が必要なワクチンであることを鑑みて、現時点では接種の必要はありません。
そのかわり、猫ちゃんも狂犬病にかかることをぜひ覚えておいていただけたらと思います。
最後に
今回で予防シリーズは一旦おしまいですが、抗体価検査の話など他にも取り上げたい話題があるので、またコラムにできたらと思っています。
これから予防シーズンが始まります。
待つのも本当に大変だと思いますが、今年もぜひ予防を続けてあげてくださいね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

執筆者
2010年 北里大学獣医学部卒業
大阪、東北の動物病院を経て、
2015年~2016年 北里大学附属小動物医療センター研修医
2016年~2024年 大阪市内の動物病院の開業業務にたずさわり、院長として勤務
2024年 オンラインどうぶつ病院Talkvets立ち上げ